足立区の中古マンション価格推移【2007-2025年】|地区別の坪単価と相場の読み方

足立区の中古マンション坪単価は、2007年の約113万円/坪から2025年の約210万円/坪まで、18年でおよそ1.86倍に上昇しました。ただし、この「区平均」の数字だけを見ていると重要な事実を見落とします。足立区は同じ区内でも坪単価が3倍以上開くエリアがあり、相場を読む鍵は区全体の平均ではなく、地区ごとの差にあります。

この記事では、区平均の18年推移を局面ごとに整理したうえで、76地区の最新坪単価データを主役に据えて、どのエリアが区平均を上回り、どこが下回るのかを具体的な数値で解説します。

足立区の中古マンション坪単価はこの18年でどう動いたか

足立区の中古マンション 平均坪単価の推移
値(円/坪)
20071,133,755
20081,171,885
20091,192,052
20101,269,587
20111,131,762
20121,115,939
20131,143,317
20141,139,550
20151,292,354
20161,427,926
20171,596,144
20181,587,159
20191,799,318
20201,794,189
20211,754,728
20221,779,783
20231,908,744
20241,945,091
20252,106,230

まずは区全体の坪単価がどう推移してきたかを押さえます。単なる年表ではなく、「いつ・何が起きたか」の局面に分けて見ると、足立区の相場の性格が見えてきます。

2007年→2025年:113万円/坪から210万円/坪へ、18年で約1.86倍

2007年の足立区の中古マンション坪単価は約113万円/坪(1,133,755円/坪)でした。これが2025年には約210万円/坪(2,106,230円/坪)まで上昇し、18年間でおよそ1.86倍になっています。

重要なのは、この上昇が一本調子ではなかったという点です。前半は長い停滞、後半は急上昇と、局面によってまったく異なる動きをしています。

2011〜2014年の停滞期:坪113万〜114万円台が続いた4年間

2011年から2014年にかけて、坪単価は1,131,762円→1,115,939円→1,143,317円→1,139,550円と、坪113万〜114万円台で横ばいが続きました。リーマン・ショック後の低迷が尾を引き、この4年間はほとんど値動きのない停滞期です。

2010年の1,269,587円(約127万円/坪)と比べても水準が下がっており、この時期に購入できた人は、その後の上昇局面で大きな含み益を得たことになります。

2015年以降の上昇局面:坪129万円から179万円まで駆け上がった5年間

潮目が変わったのが2015年です。坪単価は2015年の1,292,354円(約129万円/坪)から、2016年1,427,926円、2017年1,596,144円と加速し、2019年には1,799,318円(約179万円/坪)に到達しました。わずか5年で坪129万円から179万円へ、率にして約39%の上昇です。

この時期は都心マンションの価格高騰が周辺区へ波及し、割安感のあった足立区にも資金が向かった局面と重なります。

2020〜2022年の踊り場:コロナ後の需給調整で坪175万〜179万円圏に

急上昇のあと、2020年から2022年は一度足踏みします。2020年1,794,189円、2021年1,754,728円、2022年1,779,783円と、坪175万〜179万円圏で調整が続きました。コロナ禍による需給の一時的な変化を受けた踊り場です。

その後2023年に1,908,744円(約191万円/坪)、2024年1,945,091円、そして2025年に2,106,230円(約210万円/坪)と、踊り場を抜けて再び上昇基調に入っています。

地区別に見る足立区——区平均を上回るエリア・下回るエリア

足立区 地区別の平均坪単価(2025年)
順位地区平均坪単価
1千住寿町403万円/坪区平均比 +91.2%
2日ノ出町402万円/坪区平均比 +91.0%
3千住370万円/坪区平均比 +75.5%
4千住宮元町369万円/坪区平均比 +75.3%
5六町353万円/坪区平均比 +67.4%
6柳原329万円/坪区平均比 +56.2%
7千住橋戸町315万円/坪区平均比 +49.6%
8千住河原町315万円/坪区平均比 +49.4%
9千住旭町310万円/坪区平均比 +47.2%
10千住中居町305万円/坪区平均比 +44.6%
11西新井栄町300万円/坪区平均比 +42.4%
12千住緑町299万円/坪区平均比 +41.8%
13千住仲町289万円/坪区平均比 +37.1%
14千住東286万円/坪区平均比 +35.8%
15東綾瀬272万円/坪区平均比 +29.0%
上位15地区を表示(足立区内で3年以上のデータがある76地区)

ここからが本題です。2025年の区平均は約210万円/坪ですが、これはあくまで76地区を均した数字。実際には地区ごとに大きな差があり、上位と下位では坪単価が3倍以上開きます。

区平均(2025年時点)を大きく超える千住エリア:千住寿町・日ノ出町・千住が上位3地区

最上位は千住寿町の約403万円/坪(4,027,325円/坪)で、区平均を91.2%上回ります。次いで日ノ出町が4,023,395円/坪(区平均比+91.0%)、千住が3,697,187円/坪(同+75.5%)と続き、上位3地区はいずれも千住エリアが占めます。

千住寿町は2007年の1,382,419円/坪から191.3%上昇しており、区平均の伸び(約1.86倍=86%)を大きく上回るペースで値上がりしてきました。北千住駅周辺の交通利便性と再開発が、このプレミアムを支えています。

区平均+30〜90%圏:千住宮元町・六町・柳原など「千住/六町ブランド」の広がり

千住宮元町は3,692,308円/坪(区平均比+75.3%)で、2007年比の伸びは実に272.3%。六町は3,526,171円/坪(同+67.4%)、柳原は3,290,142円/坪(同+56.2%、2007年比+306.2%)と、いずれも区平均を大きく超えます。

さらに千住橋戸町(3,150,916円/坪、+49.6%)、千住河原町(3,146,091円/坪、+49.4%)、千住旭町(3,100,410円/坪、+47.2%)、千住中居町(3,045,239円/坪、+44.6%)と、千住を冠する地区が軒並み上位に並びます。「千住ブランド」と「六町エリア」が、足立区の高値圏を形成している構図です。

区平均前後で拮抗するエリア:西新井・栗原・梅田など中位グループ

区平均近辺には中位グループが集まります。梅田は2,185,665円/坪(区平均比+3.8%)、西新井は2,161,012円/坪(同+2.6%、2007年比+107.7%)、栗原は2,145,990円/坪(同+1.9%、2007年比+103.8%)と、いずれも区平均とほぼ拮抗する水準です。

竹の塚は2,084,751円/坪で区平均をわずかに下回り(-1.0%)、新田は2,050,126円/坪(-2.7%)。この中位ゾーンは、区平均を基準に「やや上」か「やや下」かで買い時・売り時の判断が分かれる価格帯です。

区平均を下回るエリア:竹の塚以西・花畑・六木・神明南など下位グループ

一方、区平均を大きく下回る地区も多く存在します。花畑は975,626円/坪(区平均比-53.7%)、椿は1,145,004円/坪(同-45.6%)、神明は1,106,063円/坪(同-47.5%)。最下位は神明南の561,983円/坪(同-71.1%)、次いで六木の628,099円/坪(同-70.2%)です。

つまり最上位の千住寿町(約403万円/坪)と最下位の神明南(約56万円/坪)では、坪単価に7倍以上の開きがあります。「足立区の相場」を一つの数字で語ることがいかに危ういか、この差が示しています。

同じ足立区でも坪単価が3倍超開く理由——立地・再開発・沿線の差

この差を生むのは、第一に駅と路線へのアクセスです。上位を占める千住エリアはJR・東京メトロ・つくばエクスプレス・東武線が集中する北千住駅を核とし、都心への到達時間が短い。対して下位の花畑・六木・神明南などは鉄道駅から距離があるエリアが多く、この立地差がそのまま坪単価に反映されています。

第二に再開発の有無です。千住・六町エリアは駅前整備や大型開発が進み、街の魅力と資産価値が押し上げられました。同じ区内でも、こうした開発の恩恵を受けた地区とそうでない地区で、値上がり率が大きく分かれています。

上昇の局面をどう読むか(何が価格を動かしたか)

区平均の推移と地区別データを重ね合わせると、「いつ・どの地区が・なぜ動いたか」が見えてきます。

2007〜2014年:リーマン後の低迷と足立区特有の底堅さ

この時期の区平均は坪113万〜127万円のレンジで推移し、2011〜2014年はほぼ横ばいでした。全国的な低迷期でありながら、足立区の坪単価は極端に崩れることはなく、下値の底堅さを見せています。停滞期に購入できた層が、後の上昇の最大の受益者となりました。

2015〜2019年:都心マンション高騰の波及と千住エリアの再開発効果

2015年以降の急上昇(坪129万→179万円)を牽引したのは千住エリアです。柳原の2007年比+306.2%、千住宮元町の+272.3%、千住中居町の+240.9%といった突出した伸びは、この局面での再開発効果と都心高騰の波及を象徴しています。六町も2015年の1,652,893円/坪から113.3%上昇しました。

2020〜2025年:低金利・供給制約下での再上昇と地区間格差の拡大

2020〜2022年の踊り場を経て、区平均は2023年以降に再上昇。低金利環境と新築供給の制約が中古市場を支えています。この局面で注目すべきは、上位地区がさらに水準を切り上げる一方、下位地区は取り残される地区間格差の拡大です。区平均が上がっても、それは高値エリアが押し上げている面が大きいことを、地区別データは示しています。

76地区データから見える『伸びた地区』と『伸び悩んだ地区』の分岐点

2007年比で大きく伸びた地区は、千住元町(+438.7%)、柳原(+306.2%)、千住宮元町(+272.3%)、関原(+204.3%)など。いずれも千住周辺か、そこに近接するエリアです。

逆に伸び悩んだ地区もあります。谷中は2007年比+14.4%、一ツ家は+15.4%、梅島は+17.5%にとどまります。さらに宮城(-7.5%)、加賀(-39.6%)、六木(-17.7%)、神明南(-32.0%)など、基準年からマイナスの地区も存在します。同じ足立区でも、伸びる地区と伸びない地区の分岐がはっきりしているのです。

地価の騰落率が示す足元の勢い

足立区の地価変動率(騰落率)
項目値(%)
直近1年10
3年20.4
5年21.8

足元の勢いは地価の騰落率に表れています。数字を見ると、足立区の上昇はまだ続いています。

直近1年+9.97%・3年+20.37%・5年+21.76%——上昇ペースは加速しているか

足立区の地価騰落率は、直近1年で+9.97%、3年で+20.37%、5年で+21.76%です。注目すべきは、5年で+21.76%に対し、直近1年だけで+9.97%という点。5年の伸びの約半分近くを直近1年で稼いでいる計算で、上昇ペースはむしろ加速局面にあると読めます。

2025年の坪単価210万円は過去18年でも最高値圏

2025年の区平均約210万円/坪(2,106,230円/坪)は、2007年以降の18年で明確な最高値です。停滞期の坪113万円台と比べれば約1.86倍。今の水準は「割安に買える相場」ではなく、過去のピークを更新し続けている高値圏にあることを理解しておく必要があります。

地区別の伸び率(2007年比・2019年比など基準年の違いに注意)をどう見るか

地区別の伸び率を読むときは、基準年の違いに注意が必要です。多くの地区は2007年比ですが、六町は2015年比(+113.3%)、日ノ出町は2019年比(-2.6%)、保塚町は2016年比(-37.5%)と、比較の起点が異なります。

日ノ出町の2019年比-2.6%は、既に高値だった水準からの微減であり、価格が安いことを意味しません(2025年で4,023,395円/坪と区内2位)。伸び率だけを額面通り受け取らず、必ず最新の坪単価水準と併せて判断してください。

足立区で買う・売るときにこのデータをどう使うか

最後に、これらの数字を実際の売買判断にどう落とし込むかを整理します。

買い手目線:区平均だけでなく地区別坪単価で『買い時』エリアを見極める

買い手は、区平均約210万円/坪を出発点にしつつ、狙う地区がその平均に対してどの位置にあるかを必ず確認しましょう。予算を抑えたいなら区平均を下回る中位〜下位エリア(西新井・栗原・竹の塚・新田など)、資産性を重視するなら千住・六町エリアと、目的によって見るべき地区が変わります。

売り手目線:自分の地区が区平均比プレミアム/ディスカウントのどちら側か確認する

売り手は、自分の物件がある地区が区平均比でプレミアム側かディスカウント側かを把握することが第一歩です。千住寿町(+91.2%)や千住(+75.5%)ならプレミアムを織り込んだ強気の価格設定が可能ですが、下位地区では区平均を基準にした値付けは高すぎる可能性があります。地区の水準に合わせた価格戦略が、成約への近道です。

千住エリアの高騰は続くのか——地区別の伸び率から見る今後のシナリオ

千住エリアは2007年比で200〜300%超の伸びを記録した地区が多く、既に高値圏にあります。地価騰落率が直近1年+9.97%と加速している点を踏まえれば、当面は底堅い動きが期待できます。一方、日ノ出町の2019年比-2.6%が示すように、最上位エリアは伸びしろが縮小している局面でもあります。今後は、割安感の残る中位エリアが平均を追いかける展開になるかが焦点です。

坪単価データを使う際の注意点(築年数・面積構成が反映されていない点)

最後に重要な注意点です。ここで扱った坪単価は地区ごとの平均値であり、築年数や住戸の面積構成の違いは反映されていません。同じ地区でも築浅・大型住戸が多ければ坪単価は上振れし、築古が多ければ下振れします。個別物件の価格を判断する際は、坪単価の水準感を出発点にしつつ、築年数・広さ・管理状態を必ず個別に確認してください。

まとめ

  • 区平均は18年で約1.86倍:2007年の約113万円/坪から2025年の約210万円/坪へ。ただし2011〜2014年は坪113万〜114万円台の停滞期だった。
  • 上昇は2015年以降:坪129万円→179万円へ5年で急伸。2020〜2022年の踊り場を経て、2023年以降に再上昇。
  • 主役は地区間格差:最上位の千住寿町(約403万円/坪、区平均比+91.2%)と最下位の神明南(約56万円/坪、同-71.1%)で坪単価は7倍以上の開き。
  • 高値圏は千住・六町ブランド:千住寿町・日ノ出町・千住が上位3地区。柳原(2007年比+306.2%)や千住宮元町(+272.3%)など突出した伸び。
  • 足元は加速局面:地価騰落率は1年+9.97%・3年+20.37%・5年+21.76%。5年の伸びの多くを直近1年で稼いでいる。
  • 判断のコツ:区平均だけでなく、自分の地区が区平均比プレミアムかディスカウントかを確認する。伸び率は基準年の違いに注意し、坪単価には築年数・面積構成が反映されていない点も踏まえること。

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