千代田区の中古マンション相場は、この18年で坪単価がおよそ2倍に膨らみました。ただし「区全体の平均」だけを見て判断するのは危険です。同じ千代田区でも、坪単価が2,000万円超のエリアと200万円台のエリアが同居しており、その差は最大で約10倍に達します。この記事では、区平均の推移を局面ごとに読み解いたうえで、37地区の坪単価ポジションを主役に据え、購入・売却の判断材料に落とし込みます。
| 年 | 値(円/坪) |
|---|---|
| 2007 | 3,132,281 |
| 2008 | 2,928,156 |
| 2009 | 2,945,439 |
| 2010 | 2,855,801 |
| 2011 | 2,840,430 |
| 2012 | 2,665,963 |
| 2013 | 2,785,316 |
| 2014 | 3,190,633 |
| 2015 | 3,446,372 |
| 2016 | 3,605,088 |
| 2017 | 3,826,159 |
| 2018 | 3,941,163 |
| 2019 | 4,060,269 |
| 2020 | 4,402,442 |
| 2021 | 4,543,576 |
| 2022 | 4,709,450 |
| 2023 | 4,927,855 |
| 2024 | 5,469,896 |
| 2025 | 6,601,402 |
千代田区(中古マンション等)の坪単価は、2007年の3,132,281円/坪から2025年には6,601,402円/坪へと推移しました。単位は円/坪(1坪=約3.3058㎡)で、物件総額でも㎡単価でもない点に注意してください。
起点の2007年(3,132,281円/坪)と直近2025年(6,601,402円/坪)を比べると、坪単価は約2.1倍に拡大しました。ただしこの18年は一本調子ではなく、下落→底打ち→回復→急伸という明確な局面に分かれています。局面を切り分けて見ることが、今の水準を評価する第一歩です。
2007年の3,132,281円/坪をピークに、相場は緩やかに崩れました。2008年2,928,156円/坪、2010年2,855,801円/坪、2011年2,840,430円/坪と切り下がり、2012年には2,665,963円/坪まで低下。ピークからの下落率は約15%に達しました。この2012年(約266万円/坪)がこの18年の谷です。
2013年に2,785,316円/坪へ反発すると、そこからは一貫した右肩上がりに転じます。2014年3,190,633円/坪、2016年3,605,088円/坪、2018年3,941,163円/坪、2019年4,060,269円/坪。2012年の底値からの回復基調は、途中で大きく崩れることなく積み上がってきました。
2020年に4,402,442円/坪(約440万円/坪)まで上げたあと、上昇ペースはさらに加速します。2021年4,543,576円/坪、2022年4,709,450円/坪、2023年4,927,855円/坪、2024年5,469,896円/坪、そして2025年6,601,402円/坪(約660万円/坪)。この5年だけで坪単価は約1.5倍に伸び、18年全体の上げの半分近くがこの直近局面に集中しています。
| 順位 | 地区 | 平均坪単価 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 紀尾井町 | 2,267万円/坪 | 区平均比 +243.4% |
| 2 | 四番町 | 1,244万円/坪 | 区平均比 +88.4% |
| 3 | 六番町 | 1,112万円/坪 | 区平均比 +68.4% |
| 4 | 神田淡路町 | 1,047万円/坪 | 区平均比 +58.5% |
| 5 | 富士見 | 1,045万円/坪 | 区平均比 +58.3% |
| 6 | 三番町 | 897万円/坪 | 区平均比 +35.8% |
| 7 | 一番町 | 854万円/坪 | 区平均比 +29.3% |
| 8 | 永田町 | 805万円/坪 | 区平均比 +21.9% |
| 9 | 麹町 | 792万円/坪 | 区平均比 +19.9% |
| 10 | 九段北 | 750万円/坪 | 区平均比 +13.6% |
| 11 | 飯田橋 | 700万円/坪 | 区平均比 +6.0% |
| 12 | 神田司町 | 679万円/坪 | 区平均比 +2.8% |
| 13 | 神田美土代町 | 663万円/坪 | 区平均比 +0.4% |
| 14 | 神田神保町 | 653万円/坪 | 区平均比 -1.1% |
| 15 | 内神田 | 624万円/坪 | 区平均比 -5.5% |
ここからが本題です。千代田区は面積こそ小さいものの、番町エリアの高級住宅地から神田の商業・下町エリアまで性格が大きく異なり、坪単価の水準もまったく違います。2025年の区平均6,601,402円/坪を基準に、各地区がどこに位置するかを見ていきます。
区平均を上回るエリアは、紀尾井町・四番町・六番町・神田淡路町・富士見・三番町・一番町・永田町・麹町・九段北・飯田橋・神田司町・神田美土代町の13地区。残りの多くは区平均を下回り、とくに神田系の地区が平均以下に集中しています。同じ「千代田区」でも、平均値だけでは実像をつかめないことがわかります。
最上位は紀尾井町で、2025年の坪単価は22,668,241円/坪(約2,266万円/坪)。区平均を+243.4%も上回る突出した水準です。次いで四番町が12,439,553円/坪(約1,243万円/坪、区平均比+88.4%)、六番町が11,117,670円/坪(約1,111万円/坪、同+68.4%)と続きます。番町エリアと紀尾井町が、区内価格帯の頂点を形成しています。
区平均に近い水準にあるのが、麹町7,916,781円/坪(+19.9%)、九段北7,500,058円/坪(+13.6%)、飯田橋6,998,338円/坪(+6.0%)です。いずれも区平均をやや上回る位置にあり、「千代田区の標準的な相場感」を測る目安として使いやすいゾーンです。神田美土代町(6,626,328円/坪、+0.4%)や神田神保町(6,529,521円/坪、-1.1%)も、ほぼ区平均ラインに乗っています。
区平均を下回るエリアは神田系に多く見られます。神田駿河台4,874,796円/坪(-26.2%)、神田錦町5,004,181円/坪(-24.2%)、神田小川町4,538,514円/坪(-31.2%)、神田練塀町4,058,770円/坪(-38.5%)などが並びます。最も低いのは隼町の2,314,050円/坪(-64.9%)です。
最上位の紀尾井町(22,668,241円/坪)と最下位の隼町(2,314,050円/坪)を比べると、その差は約10倍。同一区内でこれほど開くのは、住宅地としてのブランド、供給される物件のグレード、駅からの距離や街の用途(住宅地か商業・オフィス地か)が地区ごとに大きく異なるためです。だからこそ、千代田区で相場を見るときは「区平均」ではなく「地区の坪単価」を出発点にすべきです。
エリアごとの坪単価を地図で確認する — 千代田区の地区別の価格水準をマップ上で見比べられます。気になるエリアの相場感をつかむのに便利です。
最新の坪単価水準だけでなく、「どこが起点から大きく伸びたか」を見ると、エリアごとの勢いの違いが鮮明になります。伸び率は起点年が地区で異なるため、そこも合わせて確認します。
最も伸びたのは紀尾井町です。2012年の3,305,785円/坪から2025年22,668,241円/坪へ、伸び率は+585.7%。区内でも図抜けた上昇で、現在の突出した水準はこの13年の急伸によって形成されました。水準の高さと伸びの大きさが両立している、区内の象徴的なエリアです。
2008年の安値を起点に大きく戻したエリアも目立ちます。富士見は2008年2,545,455円/坪から2025年10,451,665円/坪へ+310.6%、神田淡路町は2008年3,471,074円/坪から10,465,812円/坪へ+201.5%。いずれも区平均を上回る坪単価(+58%前後)に到達しており、下落局面での安値からの反発力が強かったエリアです。
2007年を起点に着実に積み上げたのが番町エリアです。四番町は2007年5,433,857円/坪から2025年12,439,553円/坪へ+128.9%、六番町は5,027,687円/坪から11,117,670円/坪へ+121.1%。もともと高かった水準からさらに倍以上に伸びており、住宅地ブランドの底堅さがそのまま価格に表れています。一番町(+263.8%)や九段北(+252.7%)のように、比較的低い起点から大きく倍増したエリアもあります。
一方で、区内で唯一2007年比マイナスとなっているのが神田駿河台です。2007年の6,236,915円/坪から2025年4,874,796円/坪へ、-21.8%。18年前はむしろ区内でも高水準だったエリアが、現在は区平均を26.2%下回る位置にあります。区全体が2.1倍に伸びるなかでも、エリアによっては逆行するケースがあることを示す好例で、「千代田区だから上がる」という思い込みは通用しないということです。
| 項目 | 値(%) |
|---|---|
| 直近1年 | 7.2 |
| 3年 | 13.2 |
| 5年 | 8.5 |
中期の坪単価推移に加えて、直近の地価騰落率(ROC)を見ると、足元の勢いがつかめます。
千代田の地価騰落率は、直近1年で+7.24%、3年で+13.18%、5年で+8.46%。5年トータルの上げよりも直近1〜3年の伸びが厚く、上昇ペースがここにきて加速していることがわかります。坪単価が2024年5,469,896円/坪→2025年6,601,402円/坪と1年で大きく跳ねた動きとも整合的です。
足元の最新坪単価は6,226,779円/坪(約622万円/坪)。区平均6,601,402円/坪と近い水準にあり、「今の千代田区の中心的な相場帯はおおむね600万円台/坪」と読めます。この数字を基準に、狙うエリアが平均より上か下かを当てはめれば、割高・割安の当たりがつけやすくなります。
短期(1年+7.24%)が中長期のペースを上回っているのは、勢いが持続・加速している局面の特徴です。ただし急伸局面は反動も起こりやすいため、伸び率の水準だけでなく「どのエリアの伸びに支えられているか」まで見ておくのが安全です。区平均を押し上げているのは紀尾井町・番町・富士見といった上位エリアであり、神田系には踊り場のエリアも残っています。
最初にやるべきは、検討エリアが区平均6,601,402円/坪に対してプレミアムかディスカウントかを確認することです。紀尾井町(+243.4%)や四番町(+88.4%)のプレミアム帯と、神田小川町(-31.2%)や隼町(-64.9%)のディスカウント帯では、そもそも土俵が違います。区平均は「基準線」であって「相場そのもの」ではありません。
購入なら、起点からの伸び率と最新水準の両方を見ます。紀尾井町・富士見・番町のように「水準が高く、伸びも大きい」エリアは資産性が期待できる一方、価格はすでに高い。神田駿河台のように2007年比マイナスのエリアは、割安に見えても構造的に伸びにくい可能性があります。伸び率が続くエリアか、踊り場かを見極めて、予算とのバランスで選ぶのが現実的です。
売却側にとっては、直近1年+7.24%という加速局面は追い風です。坪単価が2024→2025年で大きく上振れたことも踏まえると、今は相場水準が高い位置にあります。5年+8.46%に対して直近の伸びが厚い今、勢いが続くうちに動くか、上位エリアの牽引がどこまで続くかを見極めるかの判断が問われます。
最後に、地区の坪単価を個別物件に当てはめます。検討中の物件の専有面積(坪数)に、そのエリアの坪単価を掛ければ、相場ベースの目安額が出せます。提示価格がその目安から大きく上振れ・下振れしていれば、その差の理由(築年・階数・方位・管理状態など)を確認する——この順序で見ると、感覚ではなく数字で交渉できます。
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