今回のランキングは、マンション価格そのものの高さではなく、**2015年から2025年にかけてどれだけ値上がりしたか**を示す伸び率の順位です。上位に並ぶのは坪単価が特に高い街とは限りません。
平均値で集計すると、**愛知県名古屋市中区栄**が+168.7%で首位、**東京都中央区勝どき**が+131.8%で続き、**東京都港区三田**が+108.8%で5位に入りました。平均値は、その地区で成立した全取引の価格を単純にならしたものなので、突出して高い1件の成約があると、その1件に引っ張られて数値全体が押し上げられてしまう性質があります。
実際、三田は後ほど見る中央値のランキングでは順位が大きく下がり、南青山や薬院にいたっては中央値の上位15件から姿を消します。これは、平均値の順位が『高額な1件が混ざっていたことによる伸び』を映していた可能性を示唆しており、必ずしもその街全体の相場が底上げされたことを意味するわけではない点に注意が必要です。
中央値で並べ直すと、顔ぶれがかなり入れ替わります。平均値では上位に見えなかった**福岡県福岡市博多区博多駅前**(+80.5%)や**福岡県福岡市中央区荒戸**(+78.0%)、**大阪府大阪市西区新町**(+82.9%)が新たにランクインする一方、平均値で5位だった三田は15位まで後退し、南青山や薬院は姿を消しました。
中央値は、取引された物件を価格順に並べたときにちょうど真ん中に来る値なので、極端に高い(あるいは安い)1件があっても順位への影響が小さく抑えられます。つまりこちらの並び順のほうが、**普通に売買されている物件の価格帯がどれだけ動いたか**をより素直に反映していると考えられます。
**このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。**坪単価そのものが最も高いのは東京都 港区 浜松町(1,433万円)ですが、伸び率ではNone位。同じく高価格帯の東京都 港区 六本木(5位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。
上位に食い込んだのは東京都心だけではありません。**愛知県名古屋市中区栄**は+222.6%で全国1位となり、中央値は216万円まで上昇しました。取引件数も44件と一定の厚みがあり、一部の特殊な成約に支えられた結果ではなく、繁華街としての栄という街全体で価格帯が底上げされたことがうかがえます。
**福岡県福岡市東区箱崎**も+146.3%で2位に入り、中央値は154万円、取引件数は36件です。福岡市中央区の荒戸(+78.0%)や博多区の博多駅前(+80.5%)も上位15件に名を連ねており、福岡市内の複数の地区で値上がりが同時に進んでいたことが見て取れます。東京の一等地とは異なる、地方中核都市ならではの伸びが数字に表れた形です。
上位15件を見渡すと、**豊洲**(+96.0%)、**東雲**(+79.2%)、**東陽**(+78.4%)、**芝浦**(+87.9%)、**東品川**(+84.0%)、**勝どき**(+121.6%)など、東京湾岸沿いの地区が数多く並んでいます。これらはいずれも江東区・港区・品川区・中央区にまたがるものの、地理的には湾岸部という共通点を持ちます。取引件数も豊洲75件、芝浦103件など多く、一部の特殊な取引だけで説明できる規模ではありません。
こうした湾岸エリアでは、タワーマンションを中心とした再開発が2015年以降も継続しており、新規供給と人気の高まりが価格帯全体を押し上げる方向に働いてきた可能性があります。福岡市の複数区がランクインしている点も踏まえると、都心の再開発が進むエリアや、地方中核都市の中心部で、供給と需要のバランスが変化したことが伸び率の高さの背景にあるとみられます。