全国の中古マンション値上がり率ランキング(2015→2025年・地区別)

今回のランキングは、マンション価格そのものの高さではなく、2015年から2025年にかけてどれだけ値上がりしたかを示す伸び率の順位です。上位に並ぶのは坪単価が特に高い街とは限りません。

まず「平均値」でランキングを作ってみる

【平均値】全国の中古マンション値上がり率ランキング(2015→2025年・地区別)
順位地区2015→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1愛知県 名古屋市中区 栄+168.7%205万円44
2東京都 中央区 勝どき+131.8%663万円56
3福岡県 福岡市東区 箱崎+116.0%155万円36
4東京都 港区 白金+111.4%770万円32
5東京都 港区 三田+108.8%792万円61
6東京都 港区 六本木+99.5%956万円45
7東京都 江東区 豊洲+98.0%558万円75
8東京都 港区 南青山+95.8%707万円32
9東京都 品川区 小山+91.4%544万円33
10福岡県 福岡市中央区 薬院+90.3%214万円31
上位10件を表示(対象172件)

平均値で集計すると、愛知県名古屋市中区栄が+168.7%で首位、東京都中央区勝どきが+131.8%で続き、東京都港区三田が+108.8%で5位に入りました。平均値は、その地区で成立した全取引の価格を単純にならしたものなので、突出して高い1件の成約があると、その1件に引っ張られて数値全体が押し上げられてしまう性質があります。

実際、三田は後ほど見る中央値のランキングでは順位が大きく下がり、南青山や薬院にいたっては中央値の上位15件から姿を消します。これは、平均値の順位が『高額な1件が混ざっていたことによる伸び』を映していた可能性を示唆しており、必ずしもその街全体の相場が底上げされたことを意味するわけではない点に注意が必要です。

同じデータを「中央値」で並べ直すと、顔ぶれが変わる

【中央値】全国の中古マンション値上がり率ランキング(2015→2025年・地区別)
順位地区2015→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1愛知県 名古屋市中区 栄+222.6%216万円44
2福岡県 福岡市東区 箱崎+146.3%154万円36
3東京都 中央区 勝どき+121.6%632万円56
4東京都 港区 白金+104.8%729万円32
5東京都 港区 六本木+100.4%836万円45
6東京都 江東区 豊洲+96.0%561万円75
7東京都 港区 芝浦+87.9%597万円103
8東京都 品川区 東品川+84.0%436万円33
9東京都 品川区 小山+83.3%528万円33
10大阪府 大阪市西区 新町+82.9%306万円37
11福岡県 福岡市博多区 博多駅前+80.5%175万円40
12東京都 江東区 東雲+79.2%406万円44
13東京都 江東区 東陽+78.4%298万円55
14福岡県 福岡市中央区 荒戸+78.0%153万円35
15東京都 港区 三田+77.9%642万円61
16東京都 渋谷区 代々木+73.0%466万円50
17大阪府 大阪市西区 南堀江+71.5%256万円33
18福岡県 福岡市博多区 美野島+70.9%156万円32
19福岡県 福岡市中央区 薬院+70.7%183万円31
20東京都 港区 港南+70.7%530万円57
21福岡県 福岡市西区 姪の浜+70.5%132万円33
22千葉県 千葉市美浜区 真砂+70.4%86万円45
23神奈川県 川崎市中原区 小杉町+70.2%499万円35
24東京都 港区 海岸+70.2%570万円37
25東京都 中央区 晴海+69.2%595万円39
26神奈川県 横浜市中区 長者町+67.2%275万円31
27大阪府 大阪市淀川区 西中島+67.2%112万円45
28東京都 中央区 月島+67.0%513万円41
29東京都 中央区 日本橋浜町+66.9%503万円41
30東京都 渋谷区 恵比寿+66.8%588万円31
上位30件を表示(対象172件)
全国の中古マンション値上がり率ランキング(2015→2025年・地区別)(上位8件)
項目値(%)
栄222.6
箱崎146.3
勝どき121.6
白金104.8
六本木100.4
豊洲96
芝浦87.9
東品川84

中央値で並べ直すと、顔ぶれがかなり入れ替わります。平均値では上位に見えなかった福岡県福岡市博多区博多駅前(+80.5%)や福岡県福岡市中央区荒戸(+78.0%)、大阪府大阪市西区新町(+82.9%)が新たにランクインする一方、平均値で5位だった三田は15位まで後退し、南青山や薬院は姿を消しました。

中央値は、取引された物件を価格順に並べたときにちょうど真ん中に来る値なので、極端に高い(あるいは安い)1件があっても順位への影響が小さく抑えられます。つまりこちらの並び順のほうが、普通に売買されている物件の価格帯がどれだけ動いたかをより素直に反映していると考えられます。

このランキングの読み方

このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。坪単価そのものが最も高いのは東京都 港区 浜松町(1,433万円)ですが、伸び率ではNone位。同じく高価格帯の東京都 港区 六本木(5位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。

東京以外から躍り出たダークホース

上位に食い込んだのは東京都心だけではありません。愛知県名古屋市中区栄は+222.6%で全国1位となり、中央値は216万円まで上昇しました。取引件数も44件と一定の厚みがあり、一部の特殊な成約に支えられた結果ではなく、繁華街としての栄という街全体で価格帯が底上げされたことがうかがえます。

福岡県福岡市東区箱崎も+146.3%で2位に入り、中央値は154万円、取引件数は36件です。福岡市中央区の荒戸(+78.0%)や博多区の博多駅前(+80.5%)も上位15件に名を連ねており、福岡市内の複数の地区で値上がりが同時に進んでいたことが見て取れます。東京の一等地とは異なる、地方中核都市ならではの伸びが数字に表れた形です。

上位を占める東京湾岸エリアという構造

上位15件を見渡すと、豊洲(+96.0%)、東雲(+79.2%)、東陽(+78.4%)、芝浦(+87.9%)、東品川(+84.0%)、勝どき(+121.6%)など、東京湾岸沿いの地区が数多く並んでいます。これらはいずれも江東区・港区・品川区・中央区にまたがるものの、地理的には湾岸部という共通点を持ちます。取引件数も豊洲75件、芝浦103件など多く、一部の特殊な取引だけで説明できる規模ではありません。

こうした湾岸エリアでは、タワーマンションを中心とした再開発が2015年以降も継続しており、新規供給と人気の高まりが価格帯全体を押し上げる方向に働いてきた可能性があります。福岡市の複数区がランクインしている点も踏まえると、都心の再開発が進むエリアや、地方中核都市の中心部で、供給と需要のバランスが変化したことが伸び率の高さの背景にあるとみられます。