全国の中古マンション値上がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)

今回のランキングは価格そのものの高さではなく、2019年から2025年にかけて中古マンションの坪単価がどれだけ伸びたかを示す『伸び率』の順位です。上位に並ぶのは必ずしも高級住宅地ではなく、坪単価の水準としては目立たなかったエリアも数多く含まれています。

まず「平均値」でランキングを作ってみる

【平均値】全国の中古マンション値上がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)
順位市区町村2019→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1千葉県 流山市+90.7%178万円61
2大阪府 大阪市生野区+64.2%137万円25
3千葉県 千葉市美浜区+60.8%122万円173
4埼玉県 さいたま市西区+59.2%82万円21
5東京都 港区+57.8%684万円791
6東京都 中央区+54.0%548万円682
7神奈川県 逗子市+53.9%175万円41
8大阪府 大阪市北区+52.4%319万円413
9神奈川県 三浦市+51.8%107万円22
10埼玉県 さいたま市大宮区+50.9%248万円82
上位10件を表示(対象371件)

平均値で集計したランキングでは、千葉県流山市が+90.7%で首位となり、大阪府大阪市生野区や埼玉県さいたま市西区といった、必ずしも知名度の高くないエリアが上位に食い込んでいます。平均値は取引された物件の価格をすべて足して件数で割った数字のため、突出して高額な成約が1件でもあると、そこに引っ張られて数字全体が押し上げられてしまう性質があります。

そのため平均値のランキングは『実際にその街でよく売れている価格帯』というよりも、『たまたまあった高額成約の影響』を強く反映している可能性があります。次に示す中央値のランキングは、この影響を抑えて実勢に近い動きを見る指標です。

同じデータを「中央値」で並べ直すと、顔ぶれが変わる

【中央値】全国の中古マンション値上がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)
順位市区町村2019→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1千葉県 流山市+108.4%174万円61
2新潟県 長岡市+83.1%87万円41
3群馬県 前橋市+67.7%72万円45
4埼玉県 さいたま市大宮区+67.5%255万円82
5大阪府 摂津市+64.4%144万円28
6山梨県 甲府市+62.4%91万円30
7千葉県 千葉市美浜区+61.8%103万円173
8茨城県 土浦市+57.6%70万円23
9千葉県 柏市+55.9%136万円139
10熊本県 熊本市西区+55.2%106万円22
11神奈川県 三浦市+54.2%113万円22
12京都府 向日市+50.4%190万円20
13東京都 中央区+50.4%528万円682
14千葉県 市原市+50.1%70万円25
15神奈川県 逗子市+46.2%169万円41
16千葉県 我孫子市+45.5%102万円56
17滋賀県 大津市+44.4%108万円176
18東京都 港区+44.4%587万円791
19大阪府 大阪市生野区+44.2%111万円25
20京都府 京都市西京区+43.6%89万円20
21埼玉県 八潮市+43.3%112万円27
22東京都 国分寺市+43.0%248万円61
23千葉県 印西市+42.9%85万円69
24千葉県 鎌ケ谷市+42.8%73万円34
25山口県 周南市+41.8%73万円23
26福岡県 福岡市東区+41.7%119万円245
27奈良県 大和高田市+41.6%51万円32
28大阪府 守口市+41.5%125万円52
29神奈川県 川崎市中原区+40.1%339万円256
30大阪府 三島郡島本町+40.0%85万円25
上位30件を表示(対象376件)
全国の中古マンション値上がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)(上位8件)
項目値(%)
流山市108.4
長岡市83.1
前橋市67.7
さいたま市大宮区67.5
摂津市64.4
甲府市62.4
千葉市美浜区61.8
土浦市57.6

中央値に切り替えると、顔ぶれは大きく変わります。平均値では見られなかった新潟県長岡市(+83.1%)や群馬県前橋市(+67.7%)が上位に浮上する一方、平均値で上位だった大阪市生野区やさいたま市西区は姿を消しました。中央値は、取引を価格順に並べたときにちょうど真ん中に来る価格を指すため、極端な高額成約1件があっても順位への影響は限定的です。

つまり中央値のランキングは、その街で『普通の人が実際に買っている価格帯』がどう動いたかをより素直に映していると言えます。以下ではこの中央値ランキングを軸に、上位エリアの特徴を見ていきます。

このランキングの読み方

このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。坪単価そのものが最も高いのは東京都 港区(628万円)ですが、伸び率では18位。同じく高価格帯の東京都 中央区(13位)、東京都 千代田区(73位)、東京都 渋谷区(48位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。

伸び率上位に見るダークホースたち

中央値ランキングの上位には、新潟県長岡市(+83.1%、取引41件)や群馬県前橋市(+67.7%、取引45件)、山梨県甲府市(+62.4%、取引30件)など、東京圏以外の地方都市が目立ちます。長岡市では2021年第4四半期に5,700万円・105平方メートル・4LDKの成約、前橋市では2024年第2四半期に9,000万円・100平方メートル・3LDKの成約が記録されており、いずれも築浅の広めの物件です。

甲府市でも2025年第2四半期に5,700万円・100平方メートル・4LDKの取引が確認できます。これらの都市は坪単価そのものの水準は突出して高いわけではありませんが、築浅・広め・駅近といった条件の物件が一定数取引され、中央値を押し上げる形になっていると見られます。

上位エリアに共通する構造

上位を見渡すと、千葉県流山市や埼玉県さいたま市大宮区、千葉県柏市のように、都心への通勤圏でありながら再開発や新駅整備が進んできたエリアが複数含まれています。流山市は流山おおたかの森を中心に子育て世帯向けの住宅供給が続いてきた経緯があり、大宮区も新幹線停車駅を抱える中核拠点として位置づけられてきました。こうした都市では新築マンションの供給や再開発が坪単価水準を段階的に押し上げ、それが中古市場の取引価格にも波及している可能性があります。

一方で坪単価の絶対水準そのものが高い港区・中央区・千代田区といった都心区は、伸び率ランキングでは上位に入っていても首位級ではありません。すでに高い水準にある地域は伸びしろが相対的に小さくなりやすく、逆に評価が追いついていなかったエリアほど伸び率が大きく出やすいという構造が背景にあるとみられます。