全国の中古マンション値下がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)

今回のランキングは価格の高さではなく、2019年から2025年にかけて中古マンションの坪単価がどれだけ下がったか、その下落率の大きさで並べたものです。上位ほど値下がりの度合いが大きかったエリアということになります。

まず「平均値」でランキングを作ってみる

【平均値】全国の中古マンション値下がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)
順位市区町村2019→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1長崎県 佐世保市-90.0%81万円32
2福岡県 福岡市早良区-75.0%165万円148
3大阪府 高石市-27.7%84万円28
4愛知県 豊明市-25.2%58万円20
5福岡県 北九州市戸畑区-11.1%58万円23
6埼玉県 狭山市-10.7%46万円63
7愛知県 名古屋市天白区-10.3%88万円86
8千葉県 成田市-10.1%77万円28
9岡山県 岡山市中区-9.9%79万円25
10奈良県 橿原市-6.8%67万円36
上位10件を表示(対象371件)

最初にお見せする表は、成約価格の平均値をもとに集計したランキングです。1位の長崎県佐世保市は-90.0%、2位の福岡県福岡市早良区は-75.0%と、突出した下落率が並びます。平均値は取引された物件の価格を単純に足して割った数字なので、極端に高額な物件が1件混じるだけで数字が大きく振れてしまうという性質があります。

つまりこの表の上位は、必ずしも「そのエリア全体の相場が大きく下がった」ことを示しているとは限りません。始期または終期のどちらかにたまたま高額な成約が1件あった、あるいはなかった、という偶然が数字を押し上げている可能性があります。実際の相場の動きに近い姿を見るには、もう一つの集計方法が必要になります。

同じデータを「中央値」で並べ直すと、顔ぶれが変わる

【中央値】全国の中古マンション値下がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)
順位市区町村2019→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1大阪府 高石市-35.2%80万円28
2埼玉県 狭山市-28.8%31万円63
3愛知県 豊明市-24.3%57万円20
4京都府 木津川市-23.3%62万円24
5愛知県 名古屋市天白区-21.1%78万円86
6福岡県 北九州市戸畑区-19.7%52万円23
7千葉県 成田市-15.9%74万円28
8北海道 旭川市-15.7%37万円23
9福岡県 北九州市門司区-15.5%53万円43
10埼玉県 久喜市-14.1%57万円38
11岡山県 岡山市中区-14.1%75万円25
12愛知県 東海市-13.8%76万円20
13秋田県 秋田市-12.3%56万円55
14三重県 津市-10.6%77万円20
15福岡県 北九州市八幡西区-9.5%45万円84
16福島県 福島市-9.1%66万円28
17奈良県 大和郡山市-9.0%59万円23
18山形県 山形市-8.7%72万円23
19熊本県 熊本市東区-8.6%61万円27
20愛知県 尾張旭市-8.4%47万円29
21愛知県 名古屋市港区-7.1%59万円45
22愛知県 稲沢市-7.1%61万円28
23埼玉県 北本市-7.0%35万円20
24北海道 小樽市-6.9%39万円28
25和歌山県 和歌山市-6.8%60万円58
26山口県 下関市-6.7%56万円49
27広島県 呉市-6.6%74万円20
28奈良県 橿原市-6.6%61万円36
29福岡県 北九州市小倉北区-6.5%58万円99
30大阪府 河内長野市-6.0%34万円30
上位30件を表示(対象376件)
全国の中古マンション値下がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)(上位8件)
項目値(%)
高石市-35.2
狭山市-28.8
豊明市-24.3
木津川市-23.3
名古屋市天白区-21.1
北九州市戸畑区-19.7
成田市-15.9
旭川市-15.7

そこで中央値、つまり取引価格を安い順に並べたときの真ん中の値で集計し直すと、顔ぶれは大きく入れ替わります。平均値ランキングで1位と2位だった佐世保市と福岡市早良区は姿を消し、代わって大阪府高石市が-35.2%で1位に、埼玉県狭山市が-28.8%で2位に浮上しました。

中央値は極端に高い、あるいは安い1件の影響を受けにくいため、「そのエリアで実際に多くの人が買っている価格帯」がどう動いたかをより素直に映し出します。平均値の表で目立っていたエリアが消え、狭山市や愛知県豊明市のように取引件数がある程度まとまっているエリアが上位に残ったのは、この集計方法の違いによるものです。

このランキングの読み方

このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。坪単価そのものが最も高いのは東京都 港区(628万円)ですが、伸び率では359位。同じく高価格帯の東京都 中央区(364位)、東京都 千代田区(304位)、東京都 渋谷区(329位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。

上位に顔を出した「ダークホース」たち

中央値ランキングの上位には、都心の高額エリアではなく、大阪府高石市や埼玉県狭山市、愛知県豊明市といった郊外の街が並びました。高石市では実際に7,500万円・105㎡・3LDK(築2019年、最寄り羽衣、2024年第1四半期)という成約や、6,200万円・85㎡・3LDK(同じく築2019年)といった高額な取引が記録されています。

狭山市でも4,700万円・260㎡のオープンフロア物件(築2010年、2021年第3四半期)や、4,400万円・75㎡・3LDK(築2019年、2025年第2四半期)といった成約があり、こうした個別の取引が積み重なった結果として、中央値ベースでも二桁を超える下落率が記録されています。件数が20件から60件台とまとまっているため、平均値ほど極端ではないものの、確かな値下がり傾向として表れている点が特徴です。

なぜこの顔ぶれになるのか

上位に並ぶエリアを見渡すと、東京都心のように坪単価そのものが高い場所(港区の坪単価628万円や中央区の575万円など)はほとんど入っておらず、むしろ坪単価の水準としては中位から下位の街が目立ちます。港区の伸び率は359位(+44.4%)、中央区は364位(+50.4%)と、坪単価が高いエリアはむしろ上昇率のランキングで下位に位置しており、今回の下落率上位とは重ならない構造になっています。

これは、都心の主要エリアが再開発や需要の集中によって坪単価を押し上げやすい一方、郊外や地方都市では人口動態や地域ごとの需給バランスの変化が価格に反映されやすいことが背景にあるとみられます。名古屋市天白区のように1億2,000万円・175㎡・4LDK(築2008年、最寄り八事)という高額成約がある一方で中央値では-21.1%を記録している例もあり、局所的な高額取引と地域全体の相場動向が必ずしも一致しないことも、この顔ぶれを読み解くうえでのひとつの手がかりになりそうです。