全国の中古マンション値上がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)

今回のランキングは、価格そのものの高さではなく、2015年から2025年にかけて中古マンションの坪単価がどれだけ伸びたかを示す『変化率』の順位です。流山市のように、もともとの価格水準が突出していなくても、大きく値を上げたエリアが上位に並びます。

まず「平均値」でランキングを作ってみる

【平均値】全国の中古マンション値上がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)
順位市区町村2015→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1千葉県 流山市+170.4%178万円53
2大阪府 大阪市生野区+106.3%137万円22
3埼玉県 さいたま市岩槻区+94.7%109万円21
4大阪府 大阪市北区+93.4%319万円335
5千葉県 柏市+87.9%143万円174
6東京都 港区+85.8%684万円803
7千葉県 習志野市+83.3%152万円104
8福岡県 福岡市東区+82.9%123万円226
9東京都 渋谷区+81.9%586万円454
10埼玉県 吉川市+81.7%138万円20
上位10件を表示(対象368件)

先に見ていただいた平均値のランキングでは、さいたま市岩槻区や東京都港区、渋谷区といった顔ぶれが上位に入っていました。平均値は、その地域で成立したすべての取引額を単純に足して割った数字なので、極端に高額な1件が混ざるだけで全体が大きく押し上げられてしまう性質があります。

港区や渋谷区はもともと坪単価の水準自体が高いエリアですが、参考データにある坪単価順位を見ると、港区は伸び率では26位、渋谷区は35位にとどまっており、平均値ランキングでの順位とは差があります。これは、一部の超高額な成約が平均値を押し上げ、『実際に多くの人が買っている価格帯』の動きとはズレた結果を生んでいる可能性を示しています。

同じデータを「中央値」で並べ直すと、顔ぶれが変わる

【中央値】全国の中古マンション値上がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)
順位市区町村2015→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1千葉県 流山市+175.6%174万円53
2愛知県 名古屋市中区+110.4%198万円184
3千葉県 柏市+106.4%136万円174
4神奈川県 三浦市+101.5%113万円26
5山梨県 甲府市+92.0%91万円35
6福岡県 福岡市東区+89.3%119万円226
7千葉県 鎌ケ谷市+86.8%73万円37
8千葉県 千葉市美浜区+83.7%103万円175
9福岡県 福岡市博多区+82.9%154万円347
10大阪府 大阪市生野区+82.2%111万円22
11大阪府 大阪市北区+80.5%283万円335
12群馬県 前橋市+77.5%72万円51
13福岡県 福岡市中央区+77.2%177万円510
14群馬県 高崎市+76.8%104万円57
15大阪府 大阪市東成区+74.7%193万円48
16新潟県 長岡市+74.3%87万円40
17神奈川県 逗子市+73.1%169万円44
18埼玉県 吉川市+71.9%132万円20
19大阪府 大阪市城東区+71.8%149万円147
20東京都 江東区+71.2%355万円761
21沖縄県 那覇市+70.7%154万円100
22埼玉県 さいたま市大宮区+70.3%255万円98
23大阪府 大阪市淀川区+70.2%147万円279
24東京都 中央区+70.1%528万円606
25愛知県 名古屋市中村区+70.1%158万円47
26東京都 港区+69.3%587万円803
27神奈川県 茅ヶ崎市+69.1%171万円101
28埼玉県 さいたま市浦和区+67.7%254万円118
29大阪府 大阪市天王寺区+67.5%238万円144
30大阪府 大阪市西区+66.7%254万円209
上位30件を表示(対象374件)
全国の中古マンション値上がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)(上位8件)
項目値(%)
流山市175.6
名古屋市中区110.4
柏市106.4
三浦市101.5
甲府市92
福岡市東区89.3
鎌ケ谷市86.8
千葉市美浜区83.7

中央値のランキングに切り替えると、顔ぶれは大きく入れ替わります。流山市は175.6%の伸びで引き続き首位を維持していますが、平均値ランキングで上位にいたさいたま市岩槻区や渋谷区は姿を消し、代わって神奈川県三浦市や山梨県甲府市、千葉県鎌ケ谷市といったエリアが新たに上位に入ってきました。

中央値は、取引を安い順に並べたときにちょうど真ん中に来る価格なので、一部の超高額物件に引っ張られにくく、そのエリアで『普通の人が実際に買っている価格帯』がどう動いたかをより素直に映し出します。今回の結果は、突出した高額成約に頼らずとも坪単価の水準そのものが底上げされてきたエリアが、中央値ベースでは上位に来やすいことを示しています。

このランキングの読み方

このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。坪単価そのものが最も高いのは東京都 港区(628万円)ですが、伸び率では26位。同じく高価格帯の東京都 中央区(24位)、東京都 千代田区(49位)、東京都 渋谷区(35位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。

上位に食い込んだダークホースたち

中央値ランキングで目を引くのが、神奈川県三浦市と山梨県甲府市です。三浦市は取引件数26件と決して多くはありませんが、101.5%の伸びで4位に入りました。参考データでは、三浦海岸駅近くの物件が5,500万円、築浅の物件が5,000万円で成約しており、海沿いの立地を求める層の需要がうかがえます。

甲府市も92.0%の伸びで5位につけています。参考データを見ると、築2019年・4LDKの物件が5,700万円で2件成約しており、同じ築年・同じ広さの物件がほぼ同水準で取引されている点から、地域内での価格の底上げが一過性のものではないことがうかがえます。

上位エリアに共通する構造

上位に並ぶエリアを眺めると、千葉県柏市や流山市、福岡市東区・博多区・中央区など、都心そのものではなく、都心へのアクセスが良い郊外や地方の中核都市が目立ちます。流山市はつくばエクスプレス沿線の再開発が進んできた街であり、福岡市の各区も都市機能の集積が進んできたエリアです。こうした立地は、都心の高額物件とは異なる価格帯でファミリー層の実需を集めやすく、それが坪単価の底上げにつながっている背景があるとみられます。

また、取引件数の多さも特徴的です。福岡市中央区は取引510件、福岡市博多区は347件と、取引件数が多い中で高い伸び率を記録しており、一部の特殊な成約に頼らず、広い母数のもとで価格水準そのものが上がってきたことがうかがえます。