全国の中古マンション値下がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)

今回まとめたのは、価格の高い・安いではなく、2015年から2025年にかけて中古マンションの坪単価がどれだけ下がったかという「値下がり率」の全国ランキングです。374件の市区町村を対象に、下落幅の大きい順に並べています。

まず「平均値」でランキングを作ってみる

【平均値】全国の中古マンション値下がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)
順位市区町村2015→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1愛知県 瀬戸市-21.7%49万円31
2愛知県 豊明市-11.5%58万円21
3埼玉県 狭山市-9.0%46万円71
4千葉県 千葉市若葉区-8.6%51万円30
5福島県 いわき市-4.9%93万円22
6奈良県 生駒市-4.4%80万円62
7三重県 津市-4.0%80万円29
8山口県 下関市-2.1%60万円50
9秋田県 秋田市-1.8%64万円56
10大阪府 河内長野市-0.2%44万円31
上位10件を表示(対象368件)

最初にご覧いただく表は、各エリアの成約価格を単純に平均して算出したランキングです。この方法では、愛知県瀬戸市が-21.7%で1位、愛知県豊明市が-11.5%で2位となっています。ただし平均値は、極端に高い金額の成約が1件混ざるだけで大きく引っ張られてしまう性質があります。取引件数が数十件程度のエリアでは、たとえば築浅の大型住戸が1件成約しただけで、そのエリア全体の『値下がり率』が実態以上に大きく(あるいは小さく)見えてしまうことがあります。

つまりこの平均値ランキングは、街全体の値動きというより、たまたまその期間に成約した物件の顔ぶれに左右されている面があります。実際に多くの人が売買している価格帯の動きを見るには、真ん中の価格を示す『中央値』で見直す必要があります。

同じデータを「中央値」で並べ直すと、顔ぶれが変わる

【中央値】全国の中古マンション値下がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)
順位市区町村2015→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1埼玉県 狭山市-31.7%31万円71
2福島県 いわき市-19.0%82万円22
3北海道 旭川市-14.8%37万円20
4三重県 津市-14.4%77万円29
5北海道 小樽市-14.3%39万円31
6大阪府 河内長野市-12.7%34万円31
7千葉県 白井市-11.0%41万円42
8福岡県 北九州市門司区-10.4%53万円32
9愛知県 瀬戸市-10.2%46万円31
10秋田県 秋田市-9.8%56万円56
11山口県 下関市-9.6%56万円50
12京都府 長岡京市-9.3%90万円24
13愛知県 豊明市-8.6%57万円21
14山形県 山形市-7.5%72万円30
15愛知県 尾張旭市-6.3%47万円28
16福島県 福島市-6.2%66万円39
17奈良県 生駒市-5.5%63万円62
18兵庫県 神戸市垂水区-4.1%59万円137
19埼玉県 さいたま市西区-1.8%49万円21
20大阪府 岸和田市-1.1%66万円42
21岡山県 岡山市中区-0.9%75万円25
22兵庫県 神戸市北区-0.5%38万円75
23福岡県 北九州市八幡西区+0.6%45万円93
24千葉県 千葉市若葉区+1.2%50万円30
25東京都 東久留米市+1.4%84万円37
26愛知県 名古屋市守山区+1.4%73万円61
27福岡県 北九州市小倉南区+1.6%59万円35
28埼玉県 志木市+1.8%112万円66
29埼玉県 久喜市+2.0%57万円28
30愛知県 大府市+2.4%83万円23
上位30件を表示(対象374件)
全国の中古マンション値下がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)(上位8件)
項目値(%)
狭山市-31.7
いわき市-19
旭川市-14.8
津市-14.4
小樽市-14.3
河内長野市-12.7
白井市-11
北九州市門司区-10.4

中央値で集計し直すと、顔ぶれは大きく変わります。平均値では1位だった愛知県瀬戸市は9位に後退し、代わって平均値では3位だった埼玉県狭山市が-31.7%で首位に浮上しました。また平均値の表にはなかった北海道旭川市や京都府長岡京市が新たに上位に入ってきています。

中央値は、ごく一部の高額成約や特殊な物件の影響を受けにくく、そのエリアで実際に取引されている『普通の価格帯』の動きを映しやすい指標です。以降はこの中央値のランキングをもとに、各エリアの背景を見ていきます。

このランキングの読み方

このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。坪単価そのものが最も高いのは東京都 港区(628万円)ですが、伸び率では349位。同じく高価格帯の東京都 中央区(351位)、東京都 千代田区(326位)、東京都 渋谷区(340位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。

値下がり率上位に浮上したダークホースたち

中央値ランキングで目を引くのが、埼玉県狭山市の-31.7%という下落幅です。参考データを見ると、狭山市では2021年第3四半期に4,700万円・260平方メートルのオープンフロア物件、2025年第2四半期には4,400万円・75平方メートルの3LDKといった成約が記録されており、期間内に価格帯の異なる物件が入れ替わりながら取引されてきたことがうかがえます。

同様に、福島県いわき市では8,500万円・105平方メートルの築2024年物件という高額成約がある一方、2021年には4,900万円・85平方メートルの物件も成約しており、値下がり率19.0%という数字の裏には、時期によって成約する物件の規模や築年数に幅があることが見て取れます。北海道旭川市でも2025年に5,200万円・100平方メートル前後の築浅4LDKが複数成約しており、こうした具体的な取引の積み重ねが中央値の変化として表れています。

上位エリアに共通する構造

値下がり率の上位には、北海道旭川市や北海道小樽市、福島県いわき市、秋田県秋田市など、大都市圏から離れた地方の中核都市が目立ちます。これらの都市は東京都心のように再開発や人口流入が続くエリアとは異なり、人口動態や地域経済の変化を背景に、住宅需要の伸びが緩やかになりやすい面があるとみられます。一方で参考データにある東京都港区や中央区は坪単価そのものは高いものの、値下がり率ランキングでは349位・351位と下位にとどまっており、価格水準の高さと値下がり率の大きさは別の軸であることが分かります。

また、三重県津市や愛知県瀬戸市のように、大都市圏に近接しながらも中心部そのものではないエリアも上位に含まれています。こうした都市では、近隣により利便性の高い選択肢が存在することが、相対的な価格の伸び悩みにつながっている可能性があるとみられます。