全国の土地値上がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)

今回のランキングは、坪単価そのものの高さではなく、2019年から2025年にかけて土地の値上がり率がどれだけ大きかったかを順位づけたものです。値上がり率が高いからといって、必ずしも坪単価そのものが高いエリアとは限りません。

まず「平均値」でランキングを作ってみる

【平均値】全国の土地値上がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)
順位市区町村2019→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1鳥取県 米子市+268.4%1,027万円84
2埼玉県 ふじみ野市+231.3%1,318万円32
3埼玉県 羽生市+196.6%499万円64
4宮崎県 宮崎市+179.0%1,006万円187
5愛媛県 新居浜市+111.4%461万円84
6長野県 北佐久郡軽井沢町+109.0%3,340万円124
7東京都 渋谷区+63.3%739万円35
8静岡県 浜松市中央区+62.1%941万円452
9東京都 台東区+54.4%609万円39
10茨城県 小美玉市+54.0%646万円53
上位10件を表示(対象42件)

平均値で集計すると、1位は鳥取県米子市(+268.4%)、2位は埼玉県ふじみ野市(+231.3%)となり、中央値ランキングには登場しない顔ぶれが上位を占めます。平均値は取引された土地の坪単価をすべて足して件数で割った数字のため、突出して高額な土地が1件混じるだけで、全体の数値が大きく引き上げられてしまう性質があります。

そのため平均値ランキングは、そのエリアで『実際に多くの人が買っている価格帯』の動きというより、少数の特殊な取引に引っ張られた結果を映している可能性があります。米子市やふじみ野市が上位に来ていること自体は事実ですが、これがそのエリア全体の地価動向を代表しているかは、中央値の数字と突き合わせて見る必要があります。

同じデータを「中央値」で並べ直すと、顔ぶれが変わる

【中央値】全国の土地値上がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)
順位市区町村2019→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1佐賀県 武雄市+131.9%14万円24
2福岡県 朝倉郡筑前町+130.1%16万円30
3宮城県 名取市+119.6%31万円40
4長野県 北佐久郡軽井沢町+116.6%13万円124
5埼玉県 羽生市+104.3%6万円64
6北海道 千歳市+97.5%19万円60
7長野県 中野市+94.3%13万円30
8滋賀県 高島市+89.0%5万円71
9大阪府 大阪市西成区+87.6%93万円24
10愛知県 豊明市+86.7%43万円24
11北海道 恵庭市+86.7%17万円40
12福岡県 福岡市博多区+84.6%115万円41
13栃木県 さくら市+81.9%10万円20
14沖縄県 宮古島市+81.7%12万円36
15福岡県 北九州市門司区+80.7%22万円25
16千葉県 我孫子市+78.9%37万円57
17長野県 北佐久郡御代田町+75.9%6万円49
18埼玉県 行田市+73.2%9万円30
19茨城県 取手市+70.1%16万円73
20東京都 港区+70.1%1,078万円21
21宮城県 岩沼市+69.6%23万円22
22茨城県 石岡市+68.9%5万円33
23東京都 渋谷区+66.9%615万円35
24北海道 江別市+66.2%18万円49
25岡山県 岡山市東区+65.7%18万円41
26埼玉県 蓮田市+65.3%32万円24
27滋賀県 栗東市+64.2%34万円39
28佐賀県 伊万里市+63.1%7万円28
29東京都 台東区+62.7%505万円39
30奈良県 葛城市+62.1%24万円27
上位30件を表示(対象720件)
全国の土地値上がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)(上位8件)
項目値(%)
武雄市131.9
朝倉郡筑前町130.1
名取市119.6
北佐久郡軽井沢町116.6
羽生市104.3
千歳市97.5
中野市94.3
高島市89

中央値に切り替えると、1位は佐賀県武雄市(+131.9%)、2位は福岡県朝倉郡筑前町(+130.1%)となり、平均値ランキングの上位にいた米子市やふじみ野市は姿を消します。中央値は取引を価格順に並べたときのちょうど真ん中の値を見る指標なので、極端に高い、あるいは安い1件の影響を受けにくく、地域で実際に成立している『普通の価格帯』の値動きを表しやすいという特徴があります。

一方で、平均値ランキングでも6位につけていた長野県北佐久郡軽井沢町(+116.6%)は、中央値でも4位(+116.6%)と上位に残っており、こちらは一部の突出取引だけでなく、地域全体として値上がりが広がっていたことがうかがえます。

このランキングの読み方

このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。坪単価そのものが最も高いのは東京都 港区(1,212万円)ですが、伸び率では20位。同じく高価格帯の東京都 渋谷区(23位)、東京都 台東区(29位)、東京都 文京区(69位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。

上位に食い込んだダークホースたち

中央値ランキングの上位には、佐賀県武雄市(+131.9%、坪14万円)や宮城県名取市(+119.6%、坪31万円)など、全国的な知名度の高いエリアとは異なる市区町村が並びます。武雄市では2021年第3四半期に6,300万円・1,400平方メートル、2022年第2四半期には6,700万円・1,600平方メートルという成約が実際に記録されており、まとまった面積の土地の取引が価格帯を押し上げていた様子がうかがえます。

名取市でも2024年第2四半期に2億8,000万円・1,900平方メートル、2025年第1四半期には3億3,000万円・1,900平方メートルという成約があり、こうした大型の土地取引が積み重なったことが、中央値の水準を押し上げる一因になっていたと考えられます。埼玉県羽生市(+104.3%、坪6万円)でも1億6,000万円・1,900平方メートルの成約があり、坪単価としては大きくない水準からの伸びであることが特徴です。

なぜこの顔ぶれになるのか

上位に並ぶ市区町村を見渡すと、福岡県北九州市門司区(+80.7%)や福岡県福岡市博多区(+84.6%)のように、新幹線や在来線の主要駅、あるいは中核都市に近い立地が目立ちます。もともとの坪単価水準がそれほど高くないエリアであっても、駅周辺や中核都市への近さが評価され直したことが、値上がり率という形で表れている面があるとみられます。

また、長野県北佐久郡軽井沢町(+116.6%、取引124件)のように取引件数自体が多いエリアがある一方、武雄市や筑前町のように取引件数は20件台にとどまりながら大型成約が中央値を押し上げているケースもあります。同じ『値上がり率が高い』という結果でも、背景にある取引の広がり方は一様ではなく、地域ごとの需要の性質が異なる形で数字に表れていると考えられます。