今回のランキングは、坪単価そのものの高さではなく、2019年から2025年にかけて土地の値上がり率がどれだけ大きかったかを順位づけたものです。値上がり率が高いからといって、必ずしも坪単価そのものが高いエリアとは限りません。
平均値で集計すると、1位は**鳥取県米子市**(+268.4%)、2位は**埼玉県ふじみ野市**(+231.3%)となり、中央値ランキングには登場しない顔ぶれが上位を占めます。平均値は取引された土地の坪単価をすべて足して件数で割った数字のため、突出して高額な土地が1件混じるだけで、全体の数値が大きく引き上げられてしまう性質があります。
そのため平均値ランキングは、そのエリアで『実際に多くの人が買っている価格帯』の動きというより、少数の特殊な取引に引っ張られた結果を映している可能性があります。米子市やふじみ野市が上位に来ていること自体は事実ですが、これがそのエリア全体の地価動向を代表しているかは、中央値の数字と突き合わせて見る必要があります。
中央値に切り替えると、1位は**佐賀県武雄市**(+131.9%)、2位は**福岡県朝倉郡筑前町**(+130.1%)となり、平均値ランキングの上位にいた米子市やふじみ野市は姿を消します。中央値は取引を価格順に並べたときのちょうど真ん中の値を見る指標なので、極端に高い、あるいは安い1件の影響を受けにくく、地域で実際に成立している『普通の価格帯』の値動きを表しやすいという特徴があります。
一方で、平均値ランキングでも6位につけていた**長野県北佐久郡軽井沢町**(+116.6%)は、中央値でも4位(+116.6%)と上位に残っており、こちらは一部の突出取引だけでなく、地域全体として値上がりが広がっていたことがうかがえます。
**このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。**坪単価そのものが最も高いのは東京都 港区(1,212万円)ですが、伸び率では20位。同じく高価格帯の東京都 渋谷区(23位)、東京都 台東区(29位)、東京都 文京区(69位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。
中央値ランキングの上位には、**佐賀県武雄市**(+131.9%、坪14万円)や**宮城県名取市**(+119.6%、坪31万円)など、全国的な知名度の高いエリアとは異なる市区町村が並びます。武雄市では2021年第3四半期に6,300万円・1,400平方メートル、2022年第2四半期には6,700万円・1,600平方メートルという成約が実際に記録されており、まとまった面積の土地の取引が価格帯を押し上げていた様子がうかがえます。
名取市でも2024年第2四半期に2億8,000万円・1,900平方メートル、2025年第1四半期には3億3,000万円・1,900平方メートルという成約があり、こうした大型の土地取引が積み重なったことが、中央値の水準を押し上げる一因になっていたと考えられます。埼玉県羽生市(+104.3%、坪6万円)でも1億6,000万円・1,900平方メートルの成約があり、坪単価としては大きくない水準からの伸びであることが特徴です。
上位に並ぶ市区町村を見渡すと、**福岡県北九州市門司区**(+80.7%)や**福岡県福岡市博多区**(+84.6%)のように、新幹線や在来線の主要駅、あるいは中核都市に近い立地が目立ちます。もともとの坪単価水準がそれほど高くないエリアであっても、駅周辺や中核都市への近さが評価され直したことが、値上がり率という形で表れている面があるとみられます。
また、**長野県北佐久郡軽井沢町**(+116.6%、取引124件)のように取引件数自体が多いエリアがある一方、武雄市や筑前町のように取引件数は20件台にとどまりながら大型成約が中央値を押し上げているケースもあります。同じ『値上がり率が高い』という結果でも、背景にある取引の広がり方は一様ではなく、地域ごとの需要の性質が異なる形で数字に表れていると考えられます。