今回のランキングは、土地の価格そのものの高さではなく、2019年から2025年にかけて坪単価がどれだけ下がったかを示す『下落率』の順位です。都心の一等地ではなく、地方都市や郊外の市区町村が上位に並んでいます。
最初にお見せする表は、坪単価の『平均値』をもとにした下落率ランキングです。1位の**さいたま市中央区**は-82.2%、2位の**藤枝市**は-70.6%と非常に大きな下落幅が並びますが、平均値は取引の中に極端に高い(あるいは低い)成約が1件混じるだけで大きく振れる性質があります。
そのため、この表の顔ぶれは『そのエリアで実際によく売れている価格帯』を必ずしも表していません。例えば7位の**東松山市**は平均値では-41.8%ですが、後述する中央値ランキングでは順位も下落率も変わってきます。平均値ランキングは『一部の特殊な取引に引っ張られた結果』として参考程度に見るのが安全です。
続いてお見せするのは、坪単価の『中央値』で集計し直したランキングです。中央値は取引を価格順に並べたときのちょうど真ん中の値なので、1件の極端な成約に左右されにくく、平均値の表とは顔ぶれが大きく変わっています。平均値で1位だった**さいたま市中央区**や2位の**藤枝市**は中央値の上位15件には入らず、代わって**東松山市**が-67.7%で1位、**つくばみらい市**が-65.7%で2位に入れ替わっています。
この入れ替わりは、平均値ランキングが特定の大口取引に押し上げられていたことの裏返しでもあります。中央値ランキングのほうが、そのエリアで『普通の人が実際に買っている土地』の価格帯がどう動いたかを、より素直に反映していると言えます。
**このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。**坪単価そのものが最も高いのは東京都 港区(1,212万円)ですが、伸び率では701位。同じく高価格帯の東京都 渋谷区(698位)、東京都 台東区(692位)、東京都 文京区(652位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。
中央値でのランキングを見ると、**つくばみらい市**(-65.7%、取引35件)や**田原市**(-59.4%、取引36件)など、平均値の表には登場しなかったエリアが上位に入っています。つくばみらい市では2023年第1四半期に2億7,000万円・1300㎡という高額な成約があり、同時期に1億2,000万円・1300㎡の取引も記録されています。こうした大型区画の成約が周辺の取引の見え方に影響しますが、中央値ランキングではその影響がならされたうえでなお下落幅が大きいことが分かります。
1位の**東松山市**でも、2021年第2四半期に1億8,000万円・1500㎡、2023年第3四半期に1億5,000万円・1800㎡という大型の成約が確認できます。取引87件という件数の多さもあり、こうした大口の取引が混ざりながらも中央値ベースで-67.7%という大きな下落を記録している点は、単発の特殊要因だけでは説明しきれない動きがあることを示唆します。
上位に並ぶ**東松山市**や**つくばみらい市**、**田原市**、**嬉野市**などは、いずれも大都市の中心部ではなく、郊外や地方都市に位置するという共通点があります。港区や渋谷区といった坪単価そのものが高いエリアの伸び率順位が701位や698位と低いことと対照的で、坪単価水準が高いエリアほど下落率ランキングの上位には来にくい構造がうかがえます。都心部では底堅い需要が坪単価を支えやすい一方、郊外や地方の市区町村では取引件数が絞られる分、数件の大型区画の成約が坪単価中央値そのものを大きく動かしやすいことが背景にあるとみられます。