全国の土地値上がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)

今回のランキングは坪単価そのものの高さではなく、2015年から2025年にかけて坪単価がどれだけ伸びたかを示す「伸び率」の順位です。地価水準の高い街と、伸び率の高い街は必ずしも一致しません。

まず「平均値」でランキングを作ってみる

まず平均値で集計したランキングを見ると、1位の**鳥取県米子市**が+497.6%という突出した伸び率で首位に立っています。平均値は取引された物件の坪単価をすべて足して件数で割るため、極端に高い1件の成約があると、その影響を強く受けてしまう性質があります。米子市のように取引件数が少ない中で高額な成約が1件混ざると、平均値だけが跳ね上がり、街全体の実勢とはズレた数字になりやすいのです。

平均値ランキングには他に**岡山県岡山市中区**や**東京都渋谷区**といった顔ぶれも並んでいますが、これらの数字が「その街で実際に多くの人が買っている価格帯」の動きを表しているとは限りません。平均値はあくまで全体の合計を件数で割った値であり、一部の高額取引に引っ張られている可能性がある点に注意が必要です。

同じデータを「中央値」で並べ直すと、顔ぶれが変わる

中央値で集計し直すと、顔ぶれは大きく入れ替わります。平均値で1位だった米子市はランキングから姿を消し、代わって**福岡県朝倉郡筑前町**が+171.6%で首位、**福岡県福岡市博多区**が+156.5%で2位に入りました。中央値は取引を価格順に並べた際の真ん中の値を採用するため、一部の突出した高額成約があっても順位への影響が小さく抑えられます。

**東京都台東区**は平均値・中央値のどちらでも上位に入っており、突出した高額成約に頼らず街全体として坪単価が押し上げられてきたことがうかがえます。中央値ランキングのほうが、投資的な大型取引ではなく、より多くの人が実際に取引している価格帯の動きに近いといえます。

このランキングの読み方

**このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。**坪単価そのものが最も高いのは東京都 港区(1,212万円)ですが、伸び率では4位。同じく高価格帯の東京都 渋谷区(16位)、東京都 台東区(5位)、東京都 文京区(42位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。

伸び率上位に食い込んだダークホースたち

中央値ランキングの上位には、地価水準としては全国的に目立つ存在ではなかったエリアが名を連ねています。3位の**宮城県岩沼市**は坪単価23万円から153.6%の伸びを記録しており、2025年第2四半期には1億3,000万円・1100平方メートルの取引や8,000万円・980平方メートルの取引が実際にありました。坪単価の水準自体は高額エリアに比べて大きくないものの、まとまった土地の取引が動いたことが伸び率に表れています。

6位の**北海道恵庭市**も坪単価17万円から125.3%伸びており、2023年第1四半期に6,900万円・1300平方メートル、2024年第3四半期に6,200万円・620平方メートルの成約がありました。こうした事例は、坪単価の絶対水準では目立たなくても、過去との比較では大きな変化があったことを示しています。1位の**福岡県朝倉郡筑前町**でも6,300万円・1800平方メートルや5,100万円・1800平方メートルといった取引があり、地方でもまとまった規模の土地取引が伸び率を押し上げる一因になっていることがうかがえます。

上位エリアに共通する構造

中央値ランキングの上位を見渡すと、東京都心の**港区**や**台東区**のように坪単価そのものが全国トップクラスの水準にあるエリアと、福岡市博多区や北海道千歳市、江別市、恵庭市のように空港や新千歳空港へのアクセス、あるいは福岡市という中核都市に隣接するエリアが混在しています。前者は既に地価水準が高い場所でさらに取引が積み上がったケース、後者は中核都市の需要が周辺に波及したケースとみられ、性質の異なる2種類の値上がりが同じランキングの中に並んでいる点が特徴的です。特に福岡市博多区や糸島市、宗像市など福岡県内の複数エリアが上位に入っていることから、福岡市を中心とした広域的な需要の高まりが背景にあるとみられます。