全国の土地値上がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)

今回のランキングは坪単価そのものの高さではなく、2015年から2025年にかけて坪単価がどれだけ伸びたかを示す「伸び率」の順位です。地価水準の高い街と、伸び率の高い街は必ずしも一致しません。

まず「平均値」でランキングを作ってみる

【平均値】全国の土地値上がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)
順位市区町村2015→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1鳥取県 米子市+497.6%1,027万円84
2東京都 台東区+131.4%609万円39
3岡山県 岡山市中区+108.6%990万円70
4東京都 渋谷区+86.1%739万円35
5長野県 北佐久郡御代田町+77.7%183万円36
6東京都 豊島区+70.3%340万円74
7北海道 苫小牧市+61.8%1,682万円87
8大阪府 大阪市都島区+55.9%148万円21
9宮崎県 宮崎市+44.7%1,006万円187
10静岡県 浜松市中央区+43.3%941万円452
上位10件を表示(対象21件)

まず平均値で集計したランキングを見ると、1位の鳥取県米子市が+497.6%という突出した伸び率で首位に立っています。平均値は取引された物件の坪単価をすべて足して件数で割るため、極端に高い1件の成約があると、その影響を強く受けてしまう性質があります。米子市のように取引件数が少ない中で高額な成約が1件混ざると、平均値だけが跳ね上がり、街全体の実勢とはズレた数字になりやすいのです。

平均値ランキングには他に岡山県岡山市中区や東京都渋谷区といった顔ぶれも並んでいますが、これらの数字が「その街で実際に多くの人が買っている価格帯」の動きを表しているとは限りません。平均値はあくまで全体の合計を件数で割った値であり、一部の高額取引に引っ張られている可能性がある点に注意が必要です。

同じデータを「中央値」で並べ直すと、顔ぶれが変わる

【中央値】全国の土地値上がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)
順位市区町村2015→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1福岡県 朝倉郡筑前町+171.6%16万円31
2福岡県 福岡市博多区+156.5%115万円41
3宮城県 岩沼市+153.6%23万円22
4東京都 港区+140.7%1,078万円23
5東京都 台東区+133.2%505万円39
6北海道 恵庭市+125.3%17万円40
7長野県 北佐久郡御代田町+121.6%6万円36
8大阪府 大阪市西成区+118.1%93万円24
9北海道 江別市+118.0%18万円49
10北海道 千歳市+114.1%19万円60
11奈良県 葛城市+110.3%24万円27
12長野県 北佐久郡軽井沢町+106.6%13万円124
13東京都 墨田区+106.0%281万円52
14福岡県 糸島市+104.3%16万円37
15福岡県 宗像市+104.2%16万円39
16東京都 渋谷区+101.9%615万円35
17宮城県 名取市+101.3%31万円40
18福岡県 福岡市中央区+98.6%178万円29
19宮城県 仙台市太白区+97.5%34万円117
20神奈川県 川崎市幸区+93.3%197万円22
21千葉県 印西市+92.9%34万円31
22千葉県 鎌ケ谷市+92.0%39万円47
23滋賀県 高島市+91.3%5万円73
24北海道 石狩市+90.6%11万円40
25京都府 京都市南区+89.8%100万円37
26北海道 札幌市中央区+88.9%81万円99
27宮城県 仙台市若林区+88.0%53万円48
28千葉県 我孫子市+87.9%37万円57
29北海道 札幌市厚別区+87.7%36万円50
30東京都 江東区+87.7%309万円54
上位30件を表示(対象714件)
全国の土地値上がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)(上位8件)
項目値(%)
朝倉郡筑前町171.6
福岡市博多区156.5
岩沼市153.6
港区140.7
台東区133.2
恵庭市125.3
北佐久郡御代田町121.6
大阪市西成区118.1

中央値で集計し直すと、顔ぶれは大きく入れ替わります。平均値で1位だった米子市はランキングから姿を消し、代わって福岡県朝倉郡筑前町が+171.6%で首位、福岡県福岡市博多区が+156.5%で2位に入りました。中央値は取引を価格順に並べた際の真ん中の値を採用するため、一部の突出した高額成約があっても順位への影響が小さく抑えられます。

東京都台東区は平均値・中央値のどちらでも上位に入っており、突出した高額成約に頼らず街全体として坪単価が押し上げられてきたことがうかがえます。中央値ランキングのほうが、投資的な大型取引ではなく、より多くの人が実際に取引している価格帯の動きに近いといえます。

このランキングの読み方

このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。坪単価そのものが最も高いのは東京都 港区(1,212万円)ですが、伸び率では4位。同じく高価格帯の東京都 渋谷区(16位)、東京都 台東区(5位)、東京都 文京区(42位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。

伸び率上位に食い込んだダークホースたち

中央値ランキングの上位には、地価水準としては全国的に目立つ存在ではなかったエリアが名を連ねています。3位の宮城県岩沼市は坪単価23万円から153.6%の伸びを記録しており、2025年第2四半期には1億3,000万円・1100平方メートルの取引や8,000万円・980平方メートルの取引が実際にありました。坪単価の水準自体は高額エリアに比べて大きくないものの、まとまった土地の取引が動いたことが伸び率に表れています。

6位の北海道恵庭市も坪単価17万円から125.3%伸びており、2023年第1四半期に6,900万円・1300平方メートル、2024年第3四半期に6,200万円・620平方メートルの成約がありました。こうした事例は、坪単価の絶対水準では目立たなくても、過去との比較では大きな変化があったことを示しています。1位の福岡県朝倉郡筑前町でも6,300万円・1800平方メートルや5,100万円・1800平方メートルといった取引があり、地方でもまとまった規模の土地取引が伸び率を押し上げる一因になっていることがうかがえます。

上位エリアに共通する構造

中央値ランキングの上位を見渡すと、東京都心の港区や台東区のように坪単価そのものが全国トップクラスの水準にあるエリアと、福岡市博多区や北海道千歳市、江別市、恵庭市のように空港や新千歳空港へのアクセス、あるいは福岡市という中核都市に隣接するエリアが混在しています。前者は既に地価水準が高い場所でさらに取引が積み上がったケース、後者は中核都市の需要が周辺に波及したケースとみられ、性質の異なる2種類の値上がりが同じランキングの中に並んでいる点が特徴的です。特に福岡市博多区や糸島市、宗像市など福岡県内の複数エリアが上位に入っていることから、福岡市を中心とした広域的な需要の高まりが背景にあるとみられます。