全国の土地値下がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)

今回のランキングは、価格そのものの高さではなく、2015年から2025年にかけて坪単価がどれだけ下がったかという「値下がり率」の順位です。1位の埼玉県東松山市は坪単価4万円まで下落し、下落率は-71.9%に達しています。

まず「平均値」でランキングを作ってみる

【平均値】全国の土地値下がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)
順位市区町村2015→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1愛知県 名古屋市熱田区-94.6%89万円23
2東京都 福生市-91.2%55万円20
3神奈川県 川崎市幸区-89.9%197万円22
4静岡県 藤枝市-85.5%120万円107
5東京都 文京区-50.0%480万円52
6沖縄県 名護市-47.8%540万円31
7新潟県 上越市-42.2%365万円116
8福井県 福井市-12.3%247万円216
9島根県 松江市-6.5%706万円93
10愛知県 海部郡大治町-2.7%20万円23
上位10件を表示(対象21件)

はじめに平均値で集計したランキングを見ると、愛知県名古屋市熱田区が-94.6%、東京都福生市が-91.2%という極端な下落率で上位を占めています。ただし平均値は、その地域で成立したごく一部の高額取引や特殊な取引に強く引っ張られる性質があります。1件でも突出した価格の取引があると、それだけで平均値が大きく跳ね上がったり沈んだりしてしまうため、この順位がそのままそのエリアの『普通の値動き』を表しているとは限りません。

実際、平均値ランキングに並ぶ神奈川県川崎市幸区や静岡県藤枝市も、取引件数の少なさや個別の大口取引の影響を受けやすい面があります。こうした平均値の弱点を踏まえたうえで、次に中央値で集計し直したランキングを見ていきます。

同じデータを「中央値」で並べ直すと、顔ぶれが変わる

【中央値】全国の土地値下がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)
順位市区町村2015→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1埼玉県 東松山市-71.9%4万円105
2茨城県 つくばみらい市-64.1%6万円35
3和歌山県 田辺市-60.4%6万円34
4島根県 江津市-54.5%3万円24
5佐賀県 嬉野市-54.3%3万円21
6千葉県 銚子市-51.2%3万円26
7静岡県 田方郡函南町-50.8%11万円23
8茨城県 鉾田市-48.4%1万円22
9愛知県 田原市-48.3%5万円42
10栃木県 那須郡那須町-47.6%1万円40
11大阪府 阪南市-44.3%6万円21
12埼玉県 秩父市-44.0%6万円33
13長野県 上伊那郡箕輪町-43.9%2万円33
14愛媛県 四国中央市-43.1%6万円41
15兵庫県 洲本市-41.6%5万円33
16鹿児島県 鹿屋市-41.4%2万円45
17茨城県 古河市-41.0%5万円65
18茨城県 坂東市-40.5%2万円47
19茨城県 下妻市-40.2%3万円28
20茨城県 筑西市-39.4%2万円86
21茨城県 桜川市-38.4%1万円26
22長野県 諏訪郡富士見町-38.1%2万円30
23群馬県 吾妻郡嬬恋村-38.0%1万円21
24鹿児島県 霧島市-38.0%4万円92
25群馬県 邑楽郡大泉町-37.9%5万円28
26愛媛県 宇和島市-34.4%8万円35
27長野県 茅野市-33.8%4万円60
28三重県 志摩市-33.1%2万円22
29香川県 三豊市-31.7%3万円31
30山口県 山陽小野田市-30.8%5万円21
上位30件を表示(対象714件)
全国の土地値下がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)(上位8件)
項目値(%)
東松山市-71.9
つくばみらい市-64.1
田辺市-60.4
江津市-54.5
嬉野市-54.3
銚子市-51.2
田方郡函南町-50.8
鉾田市-48.4

中央値で集計し直すと、顔ぶれは大きく入れ替わります。平均値ランキングの上位にいた熱田区や福生市は姿を消し、代わって埼玉県東松山市(-71.9%)、茨城県つくばみらい市(-64.1%)、和歌山県田辺市(-60.4%)といったエリアが上位に並びました。中央値は、その地域で成立した取引価格をすべて並べたときのちょうど真ん中の値であるため、一部の突出した取引に左右されにくく、実際に多くの人が土地を売り買いしている価格帯の動きをより素直に映し出します。

つまりこの中央値ランキングは、平均値ランキングよりも『普通の取引の値下がり具合』に近い姿を示していると言えます。取引件数が105件と多い東松山市が1位に入っている点からも、一部の特殊な取引だけでなく、幅広い取引の積み重ねとして下落が起きていることがうかがえます。

このランキングの読み方

このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。坪単価そのものが最も高いのは東京都 港区(1,212万円)ですが、伸び率では711位。同じく高価格帯の東京都 渋谷区(699位)、東京都 台東区(710位)、東京都 文京区(673位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。

上位に食い込んだ意外な顔ぶれ

上位には大都市圏の有名エリアではなく、茨城県つくばみらい市や佐賀県嬉野市、千葉県銚子市といった地方都市が名を連ねています。つくばみらい市では、2023年第1四半期に2億7,000万円・1300㎡という高額な成約と、同時期に1億2,000万円・1300㎡という取引が記録されており、坪単価の変動が大きな取引に左右されやすい地域であることがうかがえます。

嬉野市でも2025年第3四半期に7,500万円・1400㎡という成約がある一方、2021年第2四半期には4,000万円・940㎡という取引もあり、同じエリアでも時期によって単価の水準に幅があることが読み取れます。銚子市についても、7,300万円・1700㎡という2022年第1四半期の成約と、3,200万円・930㎡という2021年第2四半期の成約が併存しており、取引ごとの規模や単価のばらつきが下落率に反映されていると考えられます。

なぜこの顔ぶれになるのか

上位エリアに共通するのは、取引件数が20件以上という採用基準をぎりぎり満たす程度の、比較的取引件数が少ない市区町村が多いという点です。東松山市の105件のように件数が多いエリアもありますが、嬉野市の21件や江津市の24件のように、基準を満たす最低限の水準にとどまるエリアも目立ちます。取引件数が少ない地域では、坪単価の中央値そのものが少数の成約によって動きやすく、10年という長い期間を経ることで下落率が大きく表れやすくなっている可能性があります。また、坪単価の絶対水準自体がもともと低いエリアが多いことも特徴で、金額としては小さな下落幅でも比率に直すと大きな下落率として表れやすいという構造が背景にあるとみられます。