今回のランキングは、価格そのものの高さではなく、2015年から2025年にかけて坪単価がどれだけ下がったかという「値下がり率」の順位です。1位の**埼玉県東松山市**は坪単価4万円まで下落し、下落率は**-71.9%**に達しています。
はじめに平均値で集計したランキングを見ると、**愛知県名古屋市熱田区**が**-94.6%**、**東京都福生市**が**-91.2%**という極端な下落率で上位を占めています。ただし平均値は、その地域で成立したごく一部の高額取引や特殊な取引に強く引っ張られる性質があります。1件でも突出した価格の取引があると、それだけで平均値が大きく跳ね上がったり沈んだりしてしまうため、この順位がそのままそのエリアの『普通の値動き』を表しているとは限りません。
実際、平均値ランキングに並ぶ**神奈川県川崎市幸区**や**静岡県藤枝市**も、取引件数の少なさや個別の大口取引の影響を受けやすい面があります。こうした平均値の弱点を踏まえたうえで、次に中央値で集計し直したランキングを見ていきます。
中央値で集計し直すと、顔ぶれは大きく入れ替わります。平均値ランキングの上位にいた熱田区や福生市は姿を消し、代わって**埼玉県東松山市**(-71.9%)、**茨城県つくばみらい市**(-64.1%)、**和歌山県田辺市**(-60.4%)といったエリアが上位に並びました。中央値は、その地域で成立した取引価格をすべて並べたときのちょうど真ん中の値であるため、一部の突出した取引に左右されにくく、実際に多くの人が土地を売り買いしている価格帯の動きをより素直に映し出します。
つまりこの中央値ランキングは、平均値ランキングよりも『普通の取引の値下がり具合』に近い姿を示していると言えます。取引件数が105件と多い東松山市が1位に入っている点からも、一部の特殊な取引だけでなく、幅広い取引の積み重ねとして下落が起きていることがうかがえます。
**このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。**坪単価そのものが最も高いのは東京都 港区(1,212万円)ですが、伸び率では711位。同じく高価格帯の東京都 渋谷区(699位)、東京都 台東区(710位)、東京都 文京区(673位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。
上位には大都市圏の有名エリアではなく、**茨城県つくばみらい市**や**佐賀県嬉野市**、**千葉県銚子市**といった地方都市が名を連ねています。つくばみらい市では、2023年第1四半期に2億7,000万円・1300㎡という高額な成約と、同時期に1億2,000万円・1300㎡という取引が記録されており、坪単価の変動が大きな取引に左右されやすい地域であることがうかがえます。
嬉野市でも2025年第3四半期に7,500万円・1400㎡という成約がある一方、2021年第2四半期には4,000万円・940㎡という取引もあり、同じエリアでも時期によって単価の水準に幅があることが読み取れます。銚子市についても、7,300万円・1700㎡という2022年第1四半期の成約と、3,200万円・930㎡という2021年第2四半期の成約が併存しており、取引ごとの規模や単価のばらつきが下落率に反映されていると考えられます。
上位エリアに共通するのは、取引件数が20件以上という採用基準をぎりぎり満たす程度の、比較的取引件数が少ない市区町村が多いという点です。東松山市の105件のように件数が多いエリアもありますが、嬉野市の21件や江津市の24件のように、基準を満たす最低限の水準にとどまるエリアも目立ちます。取引件数が少ない地域では、坪単価の中央値そのものが少数の成約によって動きやすく、10年という長い期間を経ることで下落率が大きく表れやすくなっている可能性があります。また、坪単価の絶対水準自体がもともと低いエリアが多いことも特徴で、金額としては小さな下落幅でも比率に直すと大きな下落率として表れやすいという構造が背景にあるとみられます。