全国の一戸建て値上がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)

今回のランキングは価格の高さではなく、2019年から2025年にかけて坪単価がどれだけ伸びたかを示すものです。並んでいるのは高級住宅地ではなく、伸び率で見た南丹市や南国市といった顔ぶれになります。

まず「平均値」でランキングを作ってみる

【平均値】全国の一戸建て値上がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)
順位市区町村2019→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1栃木県 那須塩原市+165.1%462万円129
2東京都 葛飾区+130.8%371万円384
3埼玉県 蓮田市+117.5%109万円61
4大分県 大分市+105.6%1,017万円351
5神奈川県 横浜市南区+93.0%404万円195
6静岡県 伊東市+77.2%268万円197
7東京都 千代田区+58.7%2,114万円27
8宮城県 仙台市太白区+58.4%260万円244
9東京都 台東区+39.2%785万円108
10大阪府 大阪市中央区+34.6%825万円71
上位10件を表示(対象66件)

まず平均値で集計したランキングを見ると、栃木県那須塩原市が+165.1%で首位、東京都葛飾区や埼玉県蓮田市が続く結果になっています。平均値は取引価格をすべて足して件数で割るだけの単純な計算のため、その地域でたまたま成立した極端に高い成約が1件あるだけで、地域全体の水準であるかのように数字を押し上げてしまいます。

実際、参考データにある東京都千代田区は坪単価そのものが1,882万円と全国でも際立って高いエリアですが、平均値ランキングでは7位、伸び率としての順位はさらに16位に落ち着きます。このズレは、平均値が『実際に多くの人が買っている価格帯』ではなく、一部の高額取引に引きずられた数字になりやすいことを示しています。

同じデータを「中央値」で並べ直すと、顔ぶれが変わる

【中央値】全国の一戸建て値上がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)
順位市区町村2019→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1京都府 南丹市+232.0%25万円29
2高知県 南国市+188.3%56万円22
3新潟県 見附市+146.9%28万円23
4茨城県 坂東市+128.0%17万円23
5愛媛県 伊予郡松前町+101.7%48万円22
6兵庫県 小野市+95.7%39万円36
7長野県 北佐久郡軽井沢町+87.7%27万円122
8福岡県 八女市+85.9%12万円39
9沖縄県 宮古島市+85.4%47万円24
10宮崎県 児湯郡高鍋町+82.9%10万円20
11兵庫県 相生市+82.4%21万円22
12千葉県 富里市+80.7%33万円48
13石川県 白山市+79.5%36万円116
14千葉県 大網白里市+78.3%21万円70
15兵庫県 三木市+76.7%28万円78
16東京都 千代田区+76.0%1,873万円27
17北海道 釧路郡釧路町+74.8%17万円20
18熊本県 菊池郡大津町+74.5%41万円24
19長野県 塩尻市+72.1%34万円52
20山梨県 富士吉田市+69.0%26万円22
21滋賀県 東近江市+67.1%27万円75
22茨城県 石岡市+64.0%15万円48
23福岡県 粕屋郡宇美町+62.0%38万円30
24茨城県 笠間市+58.7%16万円45
25福岡県 粕屋郡粕屋町+57.8%76万円23
26埼玉県 北葛飾郡松伏町+57.2%48万円26
27新潟県 新発田市+56.3%22万円92
28沖縄県 南城市+56.1%67万円20
29神奈川県 三浦郡葉山町+55.6%93万円37
30大阪府 大阪市西成区+55.5%109万円131
上位30件を表示(対象861件)
全国の一戸建て値上がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)(上位8件)
項目値(%)
南丹市232
南国市188.3
見附市146.9
坂東市128
伊予郡松前町101.7
小野市95.7
北佐久郡軽井沢町87.7
八女市85.9

中央値で集計し直すと、平均値ランキングの顔ぶれはほぼ姿を消し、京都府南丹市(+232.0%)や高知県南国市(+188.3%)、新潟県見附市(+146.9%)といった、平均値の表には登場しなかった市が上位に並びます。那須塩原市や葛飾区、蓮田市は中央値の上位15件には入っていません。

中央値は取引を価格順に並べたときのちょうど真ん中の値なので、極端に高い1件があっても順位への影響を受けにくく、その地域で普通に成立している取引の価格帯がどう動いたかを映し出します。上位に並ぶ市区町村が入れ替わったこと自体が、平均値と中央値では見ている実態が異なることを表しています。

このランキングの読み方

このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。坪単価そのものが最も高いのは東京都 千代田区(1,882万円)ですが、伸び率では16位。同じく高価格帯の東京都 港区(90位)、東京都 中央区(239位)、大阪府 大阪市中央区(51位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。

伸び率上位に並ぶ、意外な顔ぶれ

中央値ランキングの首位は京都府南丹市で、+232.0%という伸びを記録しています。実際の成約を見ると、2022年第3四半期に1億3,000万円・敷地860平方メートルの取引、2024年第4四半期には1億円・敷地1100平方メートルの取引が成立しており、いずれも最寄り駅は園部です。取引件数は29件と多くはありませんが、こうした高額な物件の成約が中央値を押し上げる一因になったとみられます。

2位の高知県南国市(+188.3%)でも、2023年第3四半期に3億2,000万円・敷地730平方メートルという突出した成約があり、2022年第4四半期にも7,000万円・敷地750平方メートルの取引が記録されています。3位の新潟県見附市(+146.9%)は成約価格そのものは5,800万円・4,900万円と南丹市や南国市ほど高額ではなく、築年数も新しい物件が中心で、同じ上位でも中身の性格が異なることがうかがえます。

上位エリアに共通する構造

上位に並ぶ市区町村を見渡すと、兵庫県小野市や茨城県坂東市のように、大都市圏の中心部ではなく、その周辺や地方の中核都市に位置するエリアが目立ちます。坂東市は最寄り駅として守谷が挙げられており、都市圏への通勤・通学が可能な範囲にありながら、これまで坪単価の水準自体は高くなかった地域と考えられます。こうしたエリアでは、もともとの価格水準が低い分、一部の広い敷地や新しい建物の取引が成立すると、伸び率としては大きな数字になりやすい構造があるとみられます。

また取引件数が20件台にとどまる市区町村が上位の多くを占めている点も特徴です。母数が小さいと、数件の高額な成約や広い敷地の取引が中央値そのものを動かしやすくなります。一方で長野県北佐久郡軽井沢町(+87.7%、取引122件)のように取引件数が多いエリアが含まれている場合は、少数の取引に左右されにくい、より安定した伸びを示している可能性があるとみられます。