全国の一戸建て値上がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)

今回のランキングは価格の高さではなく、2019年から2025年にかけて坪単価がどれだけ伸びたかを示すものです。並んでいるのは高級住宅地ではなく、伸び率で見た**南丹市**や**南国市**といった顔ぶれになります。

まず「平均値」でランキングを作ってみる

まず平均値で集計したランキングを見ると、**栃木県那須塩原市**が+165.1%で首位、**東京都葛飾区**や**埼玉県蓮田市**が続く結果になっています。平均値は取引価格をすべて足して件数で割るだけの単純な計算のため、その地域でたまたま成立した極端に高い成約が1件あるだけで、地域全体の水準であるかのように数字を押し上げてしまいます。

実際、参考データにある**東京都千代田区**は坪単価そのものが1,882万円と全国でも際立って高いエリアですが、平均値ランキングでは7位、伸び率としての順位はさらに16位に落ち着きます。このズレは、平均値が『実際に多くの人が買っている価格帯』ではなく、一部の高額取引に引きずられた数字になりやすいことを示しています。

同じデータを「中央値」で並べ直すと、顔ぶれが変わる

中央値で集計し直すと、平均値ランキングの顔ぶれはほぼ姿を消し、**京都府南丹市**(+232.0%)や**高知県南国市**(+188.3%)、**新潟県見附市**(+146.9%)といった、平均値の表には登場しなかった市が上位に並びます。那須塩原市や葛飾区、蓮田市は中央値の上位15件には入っていません。

中央値は取引を価格順に並べたときのちょうど真ん中の値なので、極端に高い1件があっても順位への影響を受けにくく、その地域で普通に成立している取引の価格帯がどう動いたかを映し出します。上位に並ぶ市区町村が入れ替わったこと自体が、平均値と中央値では見ている実態が異なることを表しています。

このランキングの読み方

**このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。**坪単価そのものが最も高いのは東京都 千代田区(1,882万円)ですが、伸び率では16位。同じく高価格帯の東京都 港区(90位)、東京都 中央区(239位)、大阪府 大阪市中央区(51位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。

伸び率上位に並ぶ、意外な顔ぶれ

中央値ランキングの首位は**京都府南丹市**で、+232.0%という伸びを記録しています。実際の成約を見ると、2022年第3四半期に1億3,000万円・敷地860平方メートルの取引、2024年第4四半期には1億円・敷地1100平方メートルの取引が成立しており、いずれも最寄り駅は園部です。取引件数は29件と多くはありませんが、こうした高額な物件の成約が中央値を押し上げる一因になったとみられます。

2位の**高知県南国市**(+188.3%)でも、2023年第3四半期に3億2,000万円・敷地730平方メートルという突出した成約があり、2022年第4四半期にも7,000万円・敷地750平方メートルの取引が記録されています。3位の**新潟県見附市**(+146.9%)は成約価格そのものは5,800万円・4,900万円と南丹市や南国市ほど高額ではなく、築年数も新しい物件が中心で、同じ上位でも中身の性格が異なることがうかがえます。

上位エリアに共通する構造

上位に並ぶ市区町村を見渡すと、**兵庫県小野市**や**茨城県坂東市**のように、大都市圏の中心部ではなく、その周辺や地方の中核都市に位置するエリアが目立ちます。坂東市は最寄り駅として守谷が挙げられており、都市圏への通勤・通学が可能な範囲にありながら、これまで坪単価の水準自体は高くなかった地域と考えられます。こうしたエリアでは、もともとの価格水準が低い分、一部の広い敷地や新しい建物の取引が成立すると、伸び率としては大きな数字になりやすい構造があるとみられます。

また取引件数が20件台にとどまる市区町村が上位の多くを占めている点も特徴です。母数が小さいと、数件の高額な成約や広い敷地の取引が中央値そのものを動かしやすくなります。一方で**長野県北佐久郡軽井沢町**(+87.7%、取引122件)のように取引件数が多いエリアが含まれている場合は、少数の取引に左右されにくい、より安定した伸びを示している可能性があるとみられます。