全国の一戸建て値下がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)

今回のランキングは価格の高さではなく、2019年から2025年にかけて坪単価がどれだけ下がったかという変化率の順位です。上位に並ぶのは大都市ではなく、地方の市区町村が中心となっています。

まず「平均値」でランキングを作ってみる

【平均値】全国の一戸建て値下がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)
順位市区町村2019→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1岐阜県 羽島郡岐南町-98.5%36万円25
2大阪府 豊能郡豊能町-97.4%20万円21
3千葉県 印旛郡酒々井町-95.3%38万円23
4奈良県 北葛城郡王寺町-95.2%37万円26
5愛知県 岩倉市-90.8%68万円41
6神奈川県 横浜市中区-90.6%328万円110
7群馬県 桐生市-83.5%81万円102
8岐阜県 岐阜市-81.0%88万円349
9埼玉県 新座市-76.0%111万円186
10埼玉県 入間郡毛呂山町-68.8%23万円41
上位10件を表示(対象66件)

先に見ていただいた平均値のランキングでは、岐阜県羽島郡岐南町の-98.5%を筆頭に、大阪府豊能郡豊能町、千葉県印旛郡酒々井町といった顔ぶれが並びました。平均値は、その地域で成約した物件の価格を単純にならしたものなので、極端に高い1件または極端に安い1件が混ざるだけで数値が大きく動いてしまう性質があります。

実際、この平均値ランキングには取引件数の記載がなく、少ない成約件数の中でたまたま高額または低額な物件が取引されたことが順位に強く影響している可能性があります。そのため、この並びを『そのエリア全体の値動き』として読むには注意が必要です。

同じデータを「中央値」で並べ直すと、顔ぶれが変わる

【中央値】全国の一戸建て値下がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)
順位市区町村2019→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1愛媛県 伊予市-70.5%9万円20
2群馬県 富岡市-67.7%4万円29
3千葉県 銚子市-64.1%3万円52
4宮城県 気仙沼市-61.3%8万円25
5香川県 さぬき市-58.3%6万円24
6香川県 観音寺市-53.7%7万円34
7宮城県 柴田郡大河原町-52.0%14万円29
8宮城県 亘理郡亘理町-51.1%10万円20
9福島県 南相馬市-48.6%8万円34
10和歌山県 田辺市-47.9%9万円41
11愛媛県 東温市-46.5%16万円22
12岐阜県 瑞浪市-46.4%12万円23
13熊本県 天草市-46.2%6万円32
14群馬県 渋川市-44.0%7万円33
15宮城県 登米市-43.9%7万円32
16兵庫県 丹波篠山市-42.1%8万円32
17新潟県 糸魚川市-41.1%6万円20
18茨城県 日立市-40.6%12万円125
19秋田県 大館市-40.0%5万円27
20福島県 白河市-38.7%10万円43
21熊本県 宇城市-38.3%9万円33
22福岡県 北九州市門司区-38.1%13万円59
23千葉県 香取市-38.0%4万円38
24山口県 下松市-38.0%21万円50
25和歌山県 和歌山市-37.6%21万円378
26宮城県 石巻市-37.1%16万円93
27静岡県 島田市-36.9%20万円43
28鹿児島県 指宿市-36.3%3万円26
29和歌山県 新宮市-36.1%9万円22
30福島県 相馬市-36.0%9万円22
上位30件を表示(対象861件)
全国の一戸建て値下がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)(上位8件)
項目値(%)
伊予市-70.5
富岡市-67.7
銚子市-64.1
気仙沼市-61.3
さぬき市-58.3
観音寺市-53.7
柴田郡大河原町-52
亘理郡亘理町-51.1

中央値で集計し直すと、ランキングの顔ぶれは大きく入れ替わりました。平均値の上位にいた岐阜県羽島郡岐南町や大阪府豊能郡豊能町は姿を消し、代わって愛媛県伊予市(-70.5%)や群馬県富岡市(-67.7%)、千葉県銚子市(-64.1%)といった地方都市が上位に並んでいます。

中央値は、取引を価格順に並べたときのちょうど真ん中の値を指すため、突出した1件の成約に引きずられにくく、『その地域で普通に取引されている価格帯』の動きをより素直に表します。しかも今回の中央値ランキングは各年の取引件数が20件以上あるエリアに絞られているため、平均値ランキングよりも実態に近い変化を示していると考えられます。

このランキングの読み方

このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。坪単価そのものが最も高いのは東京都 千代田区(1,882万円)ですが、伸び率では846位。同じく高価格帯の東京都 港区(772位)、東京都 中央区(623位)、大阪府 大阪市中央区(811位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。

上位に食い込んだダークホースたち

1位の愛媛県伊予市では、2022年第1四半期に1億2,000万円・810平方メートル・築1992年という高額物件の成約があり、2023年第2四半期にも4,500万円・900平方メートルの取引が記録されています。こうした広い敷地を伴う成約が過去にあったことが、坪単価の変化の大きさに関わっている可能性があります。

2位の群馬県富岡市では6,200万円・700平方メートル・築1999年の物件や、5,200万円・250平方メートルの取引が確認できます。5位の香川県さぬき市でも6,700万円・1300平方メートル、6,300万円・1600平方メートルといった広い土地を含む成約が見られ、いずれも取引件数が20件台という比較的少ない母数の中での動きである点が特徴です。

上位エリアに共通する構造

今回の上位15件を見渡すと、宮城県気仙沼市や南相馬市、登米市といった東北の市が複数含まれているほか、香川県さぬき市や観音寺市、愛媛県伊予市や東温市のように四国の市も目立ちます。いずれも取引件数が20件から40件台と少なく、大都市圏の市区に比べて母数が小さい地域です。

取引件数が少ないエリアでは、一件あたりの成約が坪単価の中央値そのものを動かしやすくなります。加えて、これらの地域は人口動態や地方都市としての住宅需要の変化を背景に、成約価格帯が年によって振れやすい可能性があります。坪単価の水準そのものが高い東京都千代田区や港区が今回の伸び率ランキングでは上位に入っていないことからも、値動きの大きさと価格水準の高さは別の指標であることがうかがえます。