全国の一戸建て値下がり率ランキング(2019→2025年・市区町村別)

今回のランキングは価格の高さではなく、**2019年から2025年にかけて坪単価がどれだけ下がったか**という変化率の順位です。上位に並ぶのは大都市ではなく、地方の市区町村が中心となっています。

まず「平均値」でランキングを作ってみる

先に見ていただいた平均値のランキングでは、**岐阜県羽島郡岐南町**の-98.5%を筆頭に、**大阪府豊能郡豊能町**、**千葉県印旛郡酒々井町**といった顔ぶれが並びました。平均値は、その地域で成約した物件の価格を単純にならしたものなので、極端に高い1件または極端に安い1件が混ざるだけで数値が大きく動いてしまう性質があります。

実際、この平均値ランキングには取引件数の記載がなく、少ない成約件数の中でたまたま高額または低額な物件が取引されたことが順位に強く影響している可能性があります。そのため、この並びを『そのエリア全体の値動き』として読むには注意が必要です。

同じデータを「中央値」で並べ直すと、顔ぶれが変わる

中央値で集計し直すと、ランキングの顔ぶれは大きく入れ替わりました。平均値の上位にいた**岐阜県羽島郡岐南町**や**大阪府豊能郡豊能町**は姿を消し、代わって**愛媛県伊予市**(-70.5%)や**群馬県富岡市**(-67.7%)、**千葉県銚子市**(-64.1%)といった地方都市が上位に並んでいます。

中央値は、取引を価格順に並べたときのちょうど真ん中の値を指すため、突出した1件の成約に引きずられにくく、『その地域で普通に取引されている価格帯』の動きをより素直に表します。しかも今回の中央値ランキングは各年の取引件数が20件以上あるエリアに絞られているため、平均値ランキングよりも実態に近い変化を示していると考えられます。

このランキングの読み方

**このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。**坪単価そのものが最も高いのは東京都 千代田区(1,882万円)ですが、伸び率では846位。同じく高価格帯の東京都 港区(772位)、東京都 中央区(623位)、大阪府 大阪市中央区(811位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。

上位に食い込んだダークホースたち

1位の**愛媛県伊予市**では、2022年第1四半期に1億2,000万円・810平方メートル・築1992年という高額物件の成約があり、2023年第2四半期にも4,500万円・900平方メートルの取引が記録されています。こうした広い敷地を伴う成約が過去にあったことが、坪単価の変化の大きさに関わっている可能性があります。

2位の**群馬県富岡市**では6,200万円・700平方メートル・築1999年の物件や、5,200万円・250平方メートルの取引が確認できます。5位の**香川県さぬき市**でも6,700万円・1300平方メートル、6,300万円・1600平方メートルといった広い土地を含む成約が見られ、いずれも取引件数が20件台という比較的少ない母数の中での動きである点が特徴です。

上位エリアに共通する構造

今回の上位15件を見渡すと、**宮城県気仙沼市**や**南相馬市**、**登米市**といった東北の市が複数含まれているほか、**香川県さぬき市**や**観音寺市**、**愛媛県伊予市**や**東温市**のように四国の市も目立ちます。いずれも取引件数が20件から40件台と少なく、大都市圏の市区に比べて母数が小さい地域です。

取引件数が少ないエリアでは、一件あたりの成約が坪単価の中央値そのものを動かしやすくなります。加えて、これらの地域は人口動態や地方都市としての住宅需要の変化を背景に、成約価格帯が年によって振れやすい可能性があります。坪単価の水準そのものが高い東京都千代田区や港区が今回の伸び率ランキングでは上位に入っていないことからも、値動きの大きさと価格水準の高さは別の指標であることがうかがえます。