全国の一戸建て値上がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)

今回のランキングは、価格そのものの高さではなく、2015年から2025年にかけて坪単価がどれだけ伸びたかを示す順位です。上位に並ぶのは必ずしも高額なエリアではなく、この10年で値上がりの勢いが強かった市区町村です。

まず「平均値」でランキングを作ってみる

【平均値】全国の一戸建て値上がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)
順位市区町村2015→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1東京都 台東区+117.7%785万円108
2大阪府 大阪市浪速区+77.1%410万円44
3東京都 小金井市+33.5%189万円113
4東京都 稲城市+25.8%133万円56
5東京都 清瀬市+23.2%113万円66
6大阪府 大阪市都島区+22.0%191万円56
7長崎県 西彼杵郡長与町+20.8%46万円21
8京都府 京都市東山区+19.1%200万円54
9愛媛県 八幡浜市+11.0%20万円20
10広島県 安芸郡府中町+10.2%86万円41
上位10件を表示(対象23件)

まず平均値で集計したランキングを見ると、東京都台東区が+117.7%で1位、大阪府大阪市浪速区が+77.1%で2位となり、以下は東京都小金井市や稲城市、清瀬市など東京都内の市区が目立つ顔ぶれになっています。平均値は取引価格をすべて足して件数で割った数字のため、その年にたまたま超高額な物件が1件でも成約すると、全体の数字が大きく引き上げられてしまう性質があります。

つまりこの平均値ランキングは、『そのエリアで普通に売買されている一戸建ての値上がり具合』というより、『極端な高額成約に引っ張られた結果』を映している可能性があります。実際の取引の中心的な価格帯の動きを見るには、真ん中の値である中央値で見直す必要があります。

同じデータを「中央値」で並べ直すと、顔ぶれが変わる

【中央値】全国の一戸建て値上がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)
順位市区町村2015→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1沖縄県 宮古島市+315.1%47万円21
2沖縄県 名護市+216.8%65万円30
3高知県 南国市+146.5%56万円25
4東京都 千代田区+144.7%1,873万円27
5福岡県 糸島市+144.3%50万円94
6沖縄県 南城市+135.4%67万円20
7大阪府 大阪市中央区+125.3%689万円93
8京都府 南丹市+119.8%25万円28
9大阪府 大阪市浪速区+109.9%309万円44
10兵庫県 西脇市+106.9%16万円30
11東京都 台東区+105.5%576万円108
12茨城県 稲敷郡阿見町+99.5%31万円44
13熊本県 上益城郡益城町+99.3%47万円25
14長野県 須坂市+98.6%29万円30
15千葉県 富里市+97.4%33万円55
16大阪府 大阪市福島区+94.2%228万円57
17沖縄県 うるま市+93.9%58万円49
18福岡県 粕屋郡粕屋町+91.2%76万円23
19長野県 北佐久郡軽井沢町+90.8%27万円117
20茨城県 坂東市+90.3%17万円23
21沖縄県 石垣市+88.3%45万円24
22石川県 白山市+87.0%36万円106
23大阪府 大阪市天王寺区+84.5%314万円43
24長野県 塩尻市+84.5%34万円46
25大阪府 大阪市西成区+83.8%109万円121
26福岡県 古賀市+83.7%55万円53
27兵庫県 小野市+82.6%39万円33
28東京都 港区+81.9%1,140万円88
29沖縄県 宜野湾市+80.6%102万円25
30沖縄県 浦添市+78.6%101万円37
上位30件を表示(対象850件)
全国の一戸建て値上がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)(上位8件)
項目値(%)
宮古島市315.1
名護市216.8
南国市146.5
千代田区144.7
糸島市144.3
南城市135.4
大阪市中央区125.3
南丹市119.8

中央値で集計し直すと、順位の顔ぶれは大きく入れ替わります。1位は沖縄県宮古島市の+315.1%、2位は沖縄県名護市の+216.8%となり、平均値ランキングの上位にいた小金井市や稲城市、清瀬市は姿を消しました。一方で台東区(11位)や大阪市浪速区(9位)は中央値でも上位に残っており、これらのエリアは一部の高額成約だけでなく、取引全体として値上がりが進んでいたことがうかがえます。

中央値は取引価格を順番に並べたときの真ん中の値なので、一部の突出した高額物件の影響を受けにくく、『実際に多くの人が売買している価格帯』の動きに近い数字になります。この入れ替わりそのものが、平均値と中央値では見えてくる景色が違うことを示しています。

このランキングの読み方

このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。坪単価そのものが最も高いのは東京都 千代田区(1,882万円)ですが、伸び率では4位。同じく高価格帯の東京都 港区(28位)、東京都 中央区(36位)、大阪府 大阪市中央区(7位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。

沖縄・高知・福岡で目立つダークホースの正体

中央値ランキングの上位には、沖縄県宮古島市(+315.1%)や沖縄県名護市(+216.8%)、高知県南国市(+146.5%)、福岡県糸島市(+144.3%)といった、これまで全国的な値上がりランキングにはあまり登場してこなかった地域が並びました。取引件数はそれぞれ21件、30件、25件、94件と多くはありませんが、いずれも基準となる20件以上の取引が確認されています。

実際の成約例を見ると、宮古島市では4億円・1000平方メートルの物件(築2025年)、名護市では4億7,000万円・1400平方メートルの物件(築2024年)といった高額な取引が記録されています。南国市でも3億2,000万円・730平方メートルの成約があり、糸島市では2億9,000万円・1800平方メートルの物件が確認できます。こうした個別の高額成約が中央値そのものを押し上げているわけではありませんが、エリア全体の土地・住宅需要の強さを裏付ける一例として参考になります。

都心の伸び率と坪単価の高さは別物

参考データを見ると、坪単価そのものが最も高いのは東京都千代田区の1,882万円ですが、伸び率順位では4位(+144.7%)にとどまります。同様に港区は坪単価1,248万円ながら伸び率は28位、渋谷区は坪単価714万円で42位と、価格水準の高さと伸び率の順位は必ずしも一致していません。一方で大阪市中央区は坪単価790万円でありながら伸び率7位(+125.3%)と、水準・伸び率の両方で上位に入っています。

こうした違いが生まれる背景には、もともと坪単価が高い都心のエリアほど、これ以上の値上がり余地が相対的に小さくなりやすいという構造があるとみられます。逆に宮古島市や名護市、南国市のように、これまで坪単価が低かった地方都市や観光・移住需要のある地域では、少数の高額成約や需要の変化が伸び率に大きく反映されやすいと考えられます。中央区や浪速区、台東区のように、都市再開発や中心部への需要集中が進んだエリアでは、水準と伸び率の両方が押し上げられている可能性があります。