全国の一戸建て値下がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)

今回のランキングは価格の高さではなく、2015年から2025年にかけて坪単価がどれだけ下がったかという「下落率」の順位です。上位に並ぶのは値ごろなエリアではなく、この10年で坪単価が大きく縮んだ市区町村となります。

まず「平均値」でランキングを作ってみる

【平均値】全国の一戸建て値下がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)
順位市区町村2015→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1大阪府 泉南郡熊取町-89.0%27万円43
2埼玉県 蓮田市-82.2%109万円55
3埼玉県 さいたま市浦和区-78.6%198万円149
4東京都 千代田区-68.0%2,114万円27
5東京都 葛飾区-40.5%371万円400
6山梨県 北杜市-31.6%116万円98
7東京都 足立区-25.3%189万円578
8千葉県 我孫子市-21.6%59万円142
9奈良県 生駒郡平群町-20.5%21万円26
10広島県 広島市東区-9.6%60万円99
上位10件を表示(対象23件)

まず平均値で集計したランキングを見ると、大阪府泉南郡熊取町が-89.0%、埼玉県蓮田市が-82.2%と、下落率が突出して大きいエリアが並びます。平均値は取引された物件の価格をすべて足して件数で割るため、極端に高額な成約が1件混ざるだけで全体の数値が大きく引き上げられ、その反動でその後の期間の平均値が低く見えてしまうことがあります。

実際、東京都千代田区が平均値ランキングでは4位に-68.0%として登場していますが、参考データにある通り千代田区の坪単価はもともと1,882万円という高水準にあり、伸び率順位では847位(+144.7%)とむしろ大きく上昇している側に位置しています。この食い違いは、平均値が少数の高額取引に引っ張られやすく、『実際に多くの人が売買している価格帯』の動きとはズレることがあるという点を示しています。

同じデータを「中央値」で並べ直すと、顔ぶれが変わる

【中央値】全国の一戸建て値下がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)
順位市区町村2015→2025年 変動率2025年 坪単価取引件数
1群馬県 富岡市-72.4%4万円30
2千葉県 銚子市-68.7%3万円32
3宮城県 亘理郡亘理町-64.7%10万円23
4和歌山県 田辺市-60.5%9万円41
5福島県 相馬市-57.1%9万円22
6香川県 観音寺市-54.4%7万円34
7愛知県 田原市-52.7%14万円31
8福島県 南相馬市-52.4%8万円34
9兵庫県 丹波市-51.7%4万円35
10山口県 山陽小野田市-49.9%6万円32
11茨城県 鉾田市-49.8%2万円57
12香川県 さぬき市-49.8%6万円24
13茨城県 日立市-49.2%12万円109
14和歌山県 新宮市-48.0%9万円22
15愛媛県 宇和島市-47.9%9万円27
16宮城県 石巻市-46.9%16万円118
17愛媛県 西条市-45.0%7万円62
18新潟県 柏崎市-44.8%6万円51
19福井県 小浜市-44.4%8万円21
20福島県 白河市-44.2%10万円43
21北海道 網走市-44.2%5万円23
22福井県 越前市-44.1%11万円27
23秋田県 由利本荘市-44.0%8万円29
24奈良県 北葛城郡王寺町-43.5%24万円32
25石川県 能美市-43.2%10万円20
26秋田県 能代市-42.8%4万円31
27大阪府 阪南市-42.7%14万円52
28宮城県 気仙沼市-42.4%8万円25
29福岡県 北九州市八幡東区-41.4%13万円44
30和歌山県 橋本市-41.2%10万円46
上位30件を表示(対象850件)
全国の一戸建て値下がり率ランキング(2015→2025年・市区町村別)(上位8件)
項目値(%)
富岡市-72.4
銚子市-68.7
亘理郡亘理町-64.7
田辺市-60.5
相馬市-57.1
観音寺市-54.4
田原市-52.7
南相馬市-52.4

中央値で集計し直すと、顔ぶれはほぼ総入れ替えとなります。平均値ランキングの上位にいた熊取町や蓮田市、千代田区は姿を消し、代わって群馬県富岡市(-72.4%)、千葉県銚子市(-68.7%)、宮城県亘理郡亘理町(-64.7%)といった地方都市が上位に並びます。

中央値は取引価格を順に並べたときのちょうど真ん中の値であるため、1件だけ突出した高額成約があってもランキング全体への影響は限定的です。そのため中央値のランキングは、極端な取引に左右されにくく、そのエリアで『普通に売買されている価格帯』が10年でどう動いたかをより素直に映していると考えられます。

このランキングの読み方

このランキングは「価格の高さ」ではなく「10年間の伸び率」の順位です。坪単価そのものが最も高いのは東京都 千代田区(1,882万円)ですが、伸び率では847位。同じく高価格帯の東京都 港区(823位)、東京都 中央区(815位)、大阪府 大阪市中央区(844位)も上位ではありません。すでに高い水準にあるエリアほど、そこからの伸びしろは限られます。

地方都市が並ぶ上位、実際の取引はどうだったか

中央値ランキングの上位には、大都市圏ではなく地方の市町村が目立ちます。1位の群馬県富岡市では、2023年第3四半期に築1999年・700平方メートルの一戸建てが6,200万円で成約した記録があり、2024年第1四半期にも250平方メートルの物件が5,200万円で取引されています。こうした高額成約が過去には一定数あった一方で、直近の中央値は4万円まで下がっており、かつての水準からの落差が今回の下落率の大きさに表れています。

3位の宮城県亘理郡亘理町でも、2024年第3四半期に築2024年・490平方メートルの物件が4,900万円で、2025年第3四半期には210平方メートルの物件が4,800万円で成約するなど、比較的新しい建物を中心に高額な取引が続いています。それでも町全体の中央値としては-64.7%という大きな下落率になっており、一部の高額成約だけでは中央値全体を押し上げきれていない状況がうかがえます。

上位エリアに共通する構造

上位15件を見渡すと、群馬県富岡市、千葉県銚子市、福島県相馬市・南相馬市、和歌山県田辺市・新宮市など、いずれも東京や大阪といった中心部から離れた地方都市が並んでいます。取引件数も22件から109件までと幅があり、必ずしも取引が少ない小規模なエリアばかりではありません。こうした地域は人口や世帯数の変化を背景に、10年前の坪単価が相対的に高かった時期と、直近の水準との差が大きく開きやすい傾向があるとみられます。都心部や再開発が進む地域とは異なり、坪単価を押し上げる新しい要因が乏しいまま推移したことが、このランキングの顔ぶれに反映されている可能性があります。